セキュリティに関する最大のカンファレンスであるRSA Conferenceが、2013年3月、San Franciscoで開催された。近年、ベンチャー・キャピタルはセキュリティ企業に重点的に投資を行っており、イノベーティブな技術が数多く登場した。

出典:VentureClef

RSA Conferenceで展示された最新技術

 カンファレンスでは、Innovation Sandbox (イノベーション・サンドボックス) と題して、最新のセキュリティ技術が紹介された。予備審査を通過した10社が、ステージで技術を披露し、審査員が内容を判定する形式で実施された。会場ではベンチャー・キャピタルが有望企業と面談し、その場で投資の決定が行われるなど、熱気のこもったイベントとなった。その中で、今年の最優秀賞を獲得したのは、Remotium (リモーティアム) という新興企業である。同社のCEOであるSinan Erenが、会場中央のステージの上で、製品のポイントを印象的にアピールした(上の写真)。

 RemotiumはSan Mateo (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、企業内に持ち込まれるタブレットやスマートフォン向けにセキュリティ機能を開発している。社員はスマートフォンやタブレットにRemotiumというアプリをインストールして利用する。下の写真 (出典:VentureClef) は、iPhone 5でRemotiumを起動したところで、Remotium配下で稼働しているアプリが表示されている。ここには、メール、ブラウザー、Evernoteなどが登録されており、社員はこれらのアプリを使って業務を行う。これらのアプリは、iPhone 5にインストールされ、デバイスで稼働しているのではなく、Remotiumのサーバーで稼働している。アプリの実行結果がVisual Elementsとして、iPhone 5にストリーミングされる。クラウド上で実行されデバイス側にはデータが残らないため、iPhone 5から企業データに安全にアクセスすることができる。

出典:VentureClef

 後日、ErenがRemotiumのデモを交えて、機能を紹介してくれた。実際にiPhone 5でRemotiumを起動し、Boxアプリを使ってみた。Boxアプリをオープンすると、Boxに保存されているフォルダーとファイルが表示された。この中でPDFファイルにタッチすると、プレゼンテーション形式のスライドが表示された。操作感覚は、iPhone 5でネイティブ・アプリを操作しているようで、違和感はまったくなかった。ただ、大容量ファイル操作では、Verizonの通信状況が悪く、ぎこちない面もあった。下の写真 (出典:Remotium) はDropboxを起動 (左側) して、保存しているフォルダーとファイルを閲覧 (右側) している様子である。iPhone 5にはデータは保存されず、社員はスマートフォンやタブレットから、安全に企業データを閲覧できる。

出典:Remotium