前回に続き、ITproの連載『ひとつ上のヒューマンマネジメント』の著者である芦屋広太氏と、『ダメな“システム屋"にだまされるな!』など“システム屋"シリーズの著者である佐藤治夫氏が対談する。今回は、2人のこれまでの連載の中でも特に反響が大きかった「部下の叱り方」について語ってもらった。芦屋氏も佐藤氏も「よく叱る方だ」という点では共通しているが、叱り方には個性が表れている。

(聞き手・構成は清嶋 直樹=PC Online


 本日、芦屋広太氏の連載を更新しました。
どの上司にも通用する説明術(18)ある部下の「心を変えた」部長のひと言


次は、叱り方について聞きたいと思います。第2回(「失敗が存在しない」世界はむしろ異常)までの流れからすると、2人とも、部下が失敗したというだけでは叱らないのですか?

佐藤:いや、そうとも限りませんよ。

 私の叱り方には2通りあります。1つは失敗したときですね。何かをして失敗したとか、確認をせずにやって、それが単純なミスだという場合は、それを伝える必要があります。場合によってはそれを激しい勢いで叱って、きちんと伝える必要があります。

 ただし、単に怒鳴るといったことではなくて、そのミスがものすごい損失になったり、危険を伴ったりするということを、ロジカルに説明するようにしています。「この案件は利益が最大でも100万円ぐらいなのに、あなたの出した損失は300万円ぐらいだ」といった風に。

「失敗をしない人」の叱り方

それはロジカルとはいえ、なかなかきついですね。

佐藤:いや、これは私としては“軽め”の叱り方です。この叱り方で伝わる人の場合は、IT業界で働く技術者や営業担当者を含む“システム屋”として、むしろ一緒に仕事を進めやすいですね。

 もう1つは「仕事をしない人」を叱るときの叱り方です。仕事をしないのだから失敗も少ないのですが、それではチームとして成果を上げにくくなって困ってしまうわけです。こういう時は、もっと“重め”に叱ります。ある意味“暗い”やり方かもしれません。

 例えばある人は、システム開発のプロジェクトマネジャーとしては優秀だったのですが、事業をさらに伸ばすために、営業担当者に抜擢しました。ところが本人も不慣れなところがあって、しばらくの間、あまり成果が出ませんでした。