組織の目的達成に役立つ解決策を推進するため、ステークホルダー間の橋渡しとなるタスクとテクニックの集まりのことを「ビジネスアナリシス」といいます。このビジネスアナリシスの知識体系がBABOK(Business Analysis Body of Knowledge)です。カナダのトロントに本拠を置くNPO法人、IIBA(International Institute of Business Analysis)がBABOKを発刊しています。

 ビジネスアナリシスを実行する人を「ビジネスアナリスト」と呼びます。ビジネスアナリストは様々な要求を整理してまとめる活動をしながら、本当の要求は何なのかを探っていきます。そして、これらの要求に対して責任を持ちます。

 この特集は、BABOKの解説ではありません。BABOKの説明は、他の書籍に譲りたいと思います。ここでお伝えしたいのは、BABOKに書かれている内容が日々のプロジェクトはもちろん、私たちの生活の様々な場面で生かせるということです。

 ただし、BABOKについてある程度は知らなければ、BABOKをどのようにプロジェクトに生かしていくかをお伝えできません。

 そこで、ITproの読者のみなさんが会社で「宴会の幹事を任された」という場面を想定し、宴会という“プロジェクト”を成功させることを目的にして、分かりやすくBABOKの全体像をつかめるようにしていきたいと思います。

 使用する用語は可能な限り、身近な言葉を使います。BABOKで定義されている言葉は使いません。BABOKの言葉の定義は、普段なじみのない表現をしているため、理解するのに時間がかかります。ここでは全体像をつかむことを優先し、本来の定義にはあまりこだわらずに話を進めます。

 想定する読者は「プロジェクトを成功させたい」と日々頭を悩ませている人はもちろんですが、BABOKに興味を持っている人や、過去にBABOKを読んだけれどもピンと来なかった人も対象にしています。そういった人たちにBABOKのイメージを改めてつかんでもらい、そのうえでBABOKを具体的にプロジェクトにどう生かしていくのかを説明していきます。

 特集を読み終えた後、「BABOKをイメージできた」と感じていただき、そして「面白そうだ」と思っていただけたら、それこそBABOKをひも解いてみてください。そこにはプロジェクトを進めるうえでのヒントがたくさん詰まっています。

 では、早速始めましょう。