ソウル特別市の地下鉄、ソウルメトロの宣陵(ソルルン)駅。その駅構内の柱には、まるで小売店の陳列棚がそこにあるかのように、様々な日用品の絵が全面に印刷してある(写真1)。サムスングループと英テスコが共同経営するディスカウントストア「Home plus」が2011年に始めた仮想店舗「Home plus Virtual Store」だ。

写真1●韓国ソウル市の地下鉄にある仮想店舗「Home plus Virtual Store」
写真1●韓国ソウル市の地下鉄にある仮想店舗「Home plus Virtual Store」
商品の絵の下にあるバーコードをスマートフォンで読み取って決済すると、その日のうちに商品が自宅に届く
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 専用のスマートフォンアプリを使い、日用品の下に印字されたバーコードやQRコードを読み取る。これだけで、その商品をクレジット決済で購入できる。ビジネスパーソンが朝の通勤前に立ち寄って商品を購入すると、帰宅する頃には商品が届いているわけだ。

 このVirtual Storeは2012年9月、英ロンドンで開催された小売業界の国際会議「The World Retail Congress」で、ビジネスイノベーション部門のアワードを受賞した。多様な商品を一覧できるという実店舗の良さと、商品を自宅まで届けてくれるEC(電子商取引)サイトの良さを組み合わせた試みといえる。

GPSバスでスムーズに乗り換え

 「7分後には、○○のバス停に路線バスが到着します」。宣陵駅の構内には、バスの運行状況をリアルタイムにチェックできる大型ディスプレーが置かれている(写真2)。地下鉄の出口に近いバス停の位置も表示するので、地下鉄からバスへスムーズに乗り換えることができる。

写真2●バスと地下鉄の乗り換えを円滑にする情報システム
写真2●バスと地下鉄の乗り換えを円滑にする情報システム
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 このサービスを実現しているのが、ソウル特別市を走る全ての路線バスに取り付けたGPS(全地球測位システム)による運行管理システムだ。バスの位置情報は、路線バスの運営主体である韓国スマートカードが収集し、運行管理や上記のような顧客向けサービスに活用している。

 同社は路線バスのリアルタイム位置情報をインターネット上で一般公開しており、誰でも利用することができる。この情報を使い、バスの運行状況を確認できるスマホアプリを個人が開発しているという。