スマートフォンアプリケーションをクラウド上で検証できる企業向けサービスの選択肢が広がっている。アクセンチュアやNTTレゾナント、ベンチャー企業のソニックスなどが法人向けメニューを用意()。企業での利用を想定したテスト作業の自動化などの機能競争が始まった。

表●クラウドでスマホアプリを検証できる主な企業向けサービス
表●クラウドでスマホアプリを検証できる主な企業向けサービス
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 各社とも、メーカーや機種の数が多く、テストの負荷が大きいAndroid搭載スマホ向けにサービスを提供する。テスト用スクリプトを実行し、ボタン操作時などの挙動が正しいか確認するものだ。

 ソニックスは2013年4月、時間無制限で同時並行に30台までのテストが可能な企業向けのメニュー「プレミアムサービス」の提供を始めた。従来は1ライセンス当たりの利用時間が1日8時間まで、同時利用できる端末数が1台だった。「当初は個人を想定したが、法人契約の要望が多いためメニューを追加した。企業ユーザーは半年前と比べて3倍のペースで増えている」(同社)という。

 新メニューでは、テストの結果を複数人で共有したり、グループごとにテスト結果へのアクセス制限を設けてセキュリティを保ったりする機能を設けた。

 これらの検証サービスを利用することで、テスト費用を「最大で半額程度に抑えられる」(NTTドコモと共同で展開するアクセンチュア)だけでなく、リリースまでの期間を短縮できる。

 例えば、アクセンチュアのサービスは、スマホへの操作を記録してテストスクリプトを生成する機能を備える。一度、手動で実施した操作を、その後自動で繰り返しテストするのに向く。

 ソニックスも今回の企業向けメニューでテストスクリプトの自動生成機能を備えた。アプリのファイルをクラウド上にアップロードすると、システム側で自動解析。「ボタンを押す」など様々な操作パターンを想定し、網羅したテストスクリプトを自動生成する。「技術に不慣れな企業ユーザーなどからの、スクリプトを手動で記述する負担が重いとの声に応えた」(同社)。

 2012年11月に始めたNTTレゾナントのサービスは、パソコンに専用ソフトをインストールする方式。ブラウザ経由の他のサービスにはない、マルチタッチでの操作に対応しているという特徴がある。アクセンチュアやソニックスの用意するテストスクリプトの生成機能は、2013年中に提供する計画だ。