NECは2013年4月3日、ハードウエアとソフトウエアを一体にした垂直統合型製品「NEC Solution Platforms」を同年6月から順次発売すると発表した。高性能サーバーやミドルウエアなどのIT基盤に加えて業務アプリケーションやIP-PBX(構内交換機)も製品に統合し、「すぐ使い始められるターンキー型」(庄司信一執行役員常務)を指向したことが特徴だ。

 データベース処理向けやクラウド基盤向けなど三つのカテゴリーの製品を用意した()。米オラクルや米IBM、富士通なども垂直統合型製品を投入しており、NECは最後発である。先行する他社と差異化を図ったポイントは、業務アプリを搭載する「Application Platform Suite」に表れている。IP-PBXを統合したモデルを用意するなど、ネットワーク関連機能で付加価値を訴求したのだ。次期モデルではソフトウエアによるネットワーク制御技術「OpenFlow」に基づいた自社技術も搭載する。

図●NEC Solution Platformsのラインナップ
図●NEC Solution Platformsのラインナップ
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 IT基盤と通信系の製品を統合した代表的なモデルが、PBXからデジタルコンテンツ配信まで、ホテル業の情報通信基盤を1台で全てまかなえるというパッケージ製品「UNIVERGE ホテル業務基盤」。価格は1500万円からで、タブレット端末を客室サービスに利用する提案も行い、NECがPBXで世界的に高いシェアを持つホテル業界に売り込む。

 Application Platformでは、汎用的な業務アプリを統合したモデルも用意する。会計システムなど業務パッケージのベンダーと共同開発した検証済みの統合型製品で、これをNECの系列販社を通じて中堅企業に売り込む。「業務アプリも検証済みで提供するのは当社が初めて。構成はオープンだが、必要なものが全てそろったオフコンのように使える」と庄司常務は使い勝手の良さを訴える。

 主な販売先はNECの既存顧客になりそうだが、NECは今回の製品を新規案件を掘り起こせる「攻め」の商品と位置付ける。Application Platformの業務アプリと一緒にIP-PBXを統合したモデルは、NECの通信系販社も製品を販売する。検証が済んだ統合型製品なら企業に導入する際のSIの手間を軽減でき、通信系の販社でもPBXの顧客層に今回の製品を売れるようになるという読みだ。もっとも目論見通りに進めるには、業務システムに対する提案能力を引き上げる必要がある。実現性は、NECの支援策が左右しそうだ。