ユーザー企業の構内インフラは、当然のことながら通信事業者のインフラとは大きく違う。特別な土木設備はなく、配線が通る縦方向のスペース、横方向のスペースが維持管理上のチェックポイントとなる(図1)。加入電話やインターネットの回線は、通信機械室にあるMDFONUで受ける。ここから、IDFSPB、スイッチを介して電話機やパソコンまでケーブルでつなげる。

図1●構内インフラの概要
図1●構内インフラの概要
ほかにも空調や給排水など様々な設備があるがここでは省略している。
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 ケーブル配線には、異なるフロア間に敷設する「縦系」と、同一フロア内で敷設する「横系」の2系統がある。縦系を幹線、横系を支線と呼ぶことが多い。

 縦系はフロアを越えて敷設するため、スラブを貫通させて縦方向に開けた「シャフト」を使って配線する。通常、シャフト内には金属やビニール管パイプなどによる「縦配管」があり、電話線やイーサネットケーブルはその中を通る。

 配管の敷設方法は実際には様々だ。古いビルではコンクリートのスラブに埋め込んでいたり、屋外に配管していたりするケースもある。まずは自社が入居するビルの配管形態を把握することが、インフラ維持管理の第一歩となる。

 配管ではなく「ラック」や「フリースペース」という形で配管スペースを用意しているビルもある。ラックとは、はしご状の構造物で、ケーブルを引っ掛けて利用する。フリースペースは縦方向の空間だ。

 縦系と同様、横系も配線方法の把握が必要だ。縦系と同様に配管を使うケースもある。壁の中や廊下の上に配管があり、そこにケーブルを通す形だ。2重床のフリーアクセスフロアで床下に配線できるビルもあれば、天井に配線スペースを用意しているビルもある。