とう道は「傷みにくく」「直しやすい」

写真1●とう道の展示模型
写真1●とう道の展示模型
NTTアクセスサービスシステム研究所に展示しているもの。実際にはさらに長い距離のトンネルとなる。
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 次にとう道について状況を整理する。NTT東西が保有するとう道の総延長は651km。多くはシールド工法で掘削した地下鉄などと同様のトンネルだ(写真1)。「ここ10年くらいは新設していない」(NTT東日本の櫻田基盤設備担当部長兼環境デザイン室長)という。

 土木設備としては、自動車道や鉄道のトンネルと同様の老朽化があり得る。だが、「規模が小さいなど交通インフラとは状況が異なる」(NTT東日本の櫻田基盤設備担当部長兼環境デザイン室長)という(図1)。

 まず、環境が変化しにくい点が挙げられる。交通量が急激に増えることもないし、排気ガスの影響も受けない。地面に埋められた構造物なので、外側から劣化が進む恐れも少ない。

図1●とう道やマンホールの老朽化対策
図1●とう道やマンホールの老朽化対策
通信に関わるコンクリート地下設備はとう道とマンホールの2つがある。減価償却試算としての法定耐用年数は27年だが、NTT東西は物理的な耐用年数を「補修によって半永久的(100年以上)に使える」と見込んでいる。
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 点検工事を計画的に進めやすい点も大きい。交通インフラとは異なり、通行止めなどを考慮する必要がない。定期点検で問題が発見された場合でも、ある程度柔軟なスケジュールで補修工事を進められる。

 補修技術そのものは一般的なコンクリート設備と変わらない。ただし、修繕工事の施工について交通インフラよりも自由度が高い。交通インフラでは自動車や鉄道の通行の妨げになるような修繕は御法度だ。しかし、とう道はケーブルの通り道として使っているだけで、通行するのは保守担当者くらい。交通インフラでは許されないような出っ張りができるような補修も不可能ではない。交通インフラのトンネルに比べると、元々「傷みにくい」うえ、「修繕しやすい」という特徴があるわけだ。