アプリマーケットで現在、高い売上を上げているのは、アプリ内課金を採用した無料アプリが大半を占めている。利用自体は無料だが、アイテムなどを販売することによって収益を上げるものだ。この仕組みを採用して高収益を上げているアプリのカテゴリにはゲームが多いが、最近では他のカテゴリのアプリにも広がってきているようだ。

 では、ゲーム以外ではどのカテゴリのアプリが、どのような形で、アプリ内課金で高い収益を上げているのだろうか。その実態を確認してみよう。

アプリ内課金で効果的に収益を上げているジャンルは?

表1●App Storeの各カテゴリにおけるトップセールスランキング上位30位の有料・無料アプリ区別(2013年4月10日時点)
表1●App Storeの各カテゴリにおけるトップセールスランキング上位30位の有料・無料アプリ区別(2013年4月10日時点)

 アプリ内課金で高い売上を上げているのはゲームが中心であり、その状況は大きくは変わっていない。だが最近、それ以外のカテゴリのアプリにおいても、アプリ内課金を用いたものの方が、ダウンロード課金のアプリより高い売上を上げるケースが増えてきているようだ。

 各カテゴリごとに、アプリ内課金とダウンロード課金のどちらが高い売上を示しているかを調べたのが表1だ。App Storeの各カテゴリにおけるトップセールスのランキングから、上位30位までのアプリをピックアップし、アプリの価格が有料(ダウンロード課金)のものと無料(アプリ内課金)のもの、どちらがどのくらいランクインしているのかを確認した。

 この表からはゲームカテゴリをはじめ、「エンタテインメント」「ライフスタイル」などのように趣味や娯楽に寄っているカテゴリ、そして「ブック」「ニュース」など電子書籍に関連するカテゴリは、アプリ内課金を採用したものが高い売上を上げるものが多いことが分かる。トップセールス全体で見ても、これらのカテゴリに属したアプリが多くランクインする傾向が強い。

 一方で、「ビジネス」「ユーティリティー」などのように実用性の高いアプリが属するカテゴリは、アプリ内課金よりもダウンロード課金型アプリの方が高い売上を示す傾向が強いようだ。実用系のアプリは、アプリ内課金が得意とするアイテムの販売や、サービスとしての展開に結び付けにくいことも、この傾向に影響していると考えられる。

 そしてカテゴリ全体を比較してみると、アプリ内課金が高い売上を上げるようになったとはいえ、ゲームやブックなど売上が目立つカテゴリを除くと、多くはまだダウンロード課金が主流であることも理解できる。アプリ内課金を売上に結び付ける仕組みが構築されているジャンルは、まだ限定的といえそうだ。