国際標準化団体であるISOは、新しいストリーミング規格である「MPEG‐DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)パート1(ISO/IEC 23009-1 "Dynamic adaptive streaming over HTTP (DASH) Part 1:Media presentation description and segment formats")」を2012年4月にISO国際標準規格としてリリースした。スマートフォンやタブレット端末など多様な機器に向けたマルチメディアコンテンツのストリーミングに適した最新規格として注目を集めている。今回は、このMPEG-DASHの概要を解説する。

 スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、近年インターネットでの映像配信は、HTTPを利用したストリーミング配信「HTTPストリーミング」が一般的に利用されるようになってきた。このHTTPプロトコルを使用したインターネット向け動画配信プロトコルには現在、AppleのHTTPライブストリーミング(HLS)、マイクロソフトのスムースストリーミング、AdobeのHTTPダイナミックストリーミングの3つの方式がある。しかし、それぞれの方式に互換性がないため、HTTPプロトコルを使った動画配信プロトコルの国際標準規格として、MPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)が注目されている。

図1●HTTP Streaming仕様の経緯
図1●HTTP Streaming仕様の経緯
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 MPEG-DASHに関する国際標準規格は、携帯電話などの移動体通信システムの標準規格を策定している標準化団体「3GPP」やMPEGの標準規格を策定している「ISO/IEC JTC1/SC29 MPEG(Moving Picture Experts Group)」でHTTPプロトコルを使用した動画配信プロトコルの最新規格としてリリースされている。また、IPTVの標準規格を策定しているOpen IPTV Forumも、このMPEG-DASHに関する標準規格をリリースしている(図1)。