機能面とコスト面に変革をもたらすNFCだが、本当にスマートフォンにR/W機能が搭載されるかどうかが普及の鍵を握る。しかし、この問題はもはや解決済みだ。R/W機能を搭載したスマートフォンは2012年後半を皮切りに一気に増えるからだ(図1)。

図1●NFCリーダー/ライターとNFCタグが増加
図1●NFCリーダー/ライターとNFCタグが増加
NFCのリーダー/ライター(R/W)機能を搭載したスマートフォンやゲーム機が、2012年後半から一気に増える。それに伴い、NFCタグの枚数も増えていくとみられる。(図:半導体メーカーなどの資料を基に日経エレクトロニクスが作成)
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 米Google社のソフトウエア基盤「Android」を搭載する端末(以下、Android端末)ではNFCのR/W搭載が標準になるし、2012年10月に正式リリースされるWindows 8対応パソコンやWindows Phone 8対応端末も、NFCのR/W機能を標準で備えるもようだ。2012年8月末時点では正式な発表はないものの、米Apple社のiPhoneの次期版にNFCのR/Wが搭載されるという噂が絶えない。

 この結果、NFCのR/W機能を備えたスマートフォンだけで、2012年で1億台超、2014年には4億台超が出荷されると見込まれている(図1)。この波はスマートフォンだけでなく、ゲーム機や家電にも訪れる。例えば任天堂は、同社が2012年末に発売予定の据え置き型ゲーム機「Wii U」にNFCのR/W機能を搭載する。

 NFCのR/W機能を備えた機器が急増することで、NFCタグも普及していく。2012年に1億枚が見込まれるNFCタグの年間出荷枚数は年々増加し、2015年には8億枚にまで拡大する見通しである。NFC関連部品の単価は安いが、磁性体やアンテナ、ICなど、エレクトロニクス産業が関わる膨大な市場が生まれることになる。