2013年3月23日、「Net x Real “際”を超えるアイデアソン in 金沢」が、金沢市の金沢美術工芸大学で行われた(写真1)。スマートフォンのアプリ開発コンテストAndroid Application Award (A3)2013の関連イベントとして企画されたものだ。

写真1●3月23日に行われたイベント「Net x Real “際”を超えるアイデアソン in 金沢」
会場は、金沢市にある金沢美術工芸大学。進行役を務めたのは、CENDOの宮田人司氏(写真右の左側)と山下計画の山下哲也氏(同、右側)(photo by CENDO, Inc.)
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 イベントの中核は「ゲームストーミング」(ゲーム感覚でアイデアを広げる手法)。アイデア創発のための実習ワークショップである。今回は、A3のテーマの一つにもなっているNFC(Near Field Communication)に焦点を当て(写真2)、 当日即席で編成されたチーム単位で新しいアイデア作りに取り組んだ。

写真2●NFCによるサービス例を紹介
ワークショップでは、NFCを活用したサービス例を、協賛社であるソニーモバイルコミュニケーションズの笹谷尚弘氏が解説した。会場内では、スピーカーやヘッドフォンとスマートフォンのペアリングをNFCが実現するサービスを体験できるコーナーを設けた(photo by CENDO, Inc.)
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今必要なイノベーターとは?

 ゲームストーミングの前に行われた講演のゲストは、灘高2年のクリエイターTehu氏と、家計簿アプリを開発するzaim代表取締役の閑歳孝子氏の2人(写真3)。

 Tehu氏は、自身の経験をもとに「大人の常識」に疑問を投げかけた。例えば、「世の中は、起業家をエラく見すぎている」「社会に今必要な人は、0から1を作り出す人ではなく、1を100にする人ではないか」「100年先のような、遠い未来志向になりすぎていないか」といったものだ。Tehu氏が「1を100に」を重視する理由は、同じようなアイデアを持つ人は大勢いて、意思を持った人こそがアイデアを現実にできるからというものだ。

 実行できることが大事という例として挙げたのが、auがテレビCMで実現した、東京タワーの照明をスマートフォンから変えられるデモ。Tehu氏は「自分が実現したかった」と悔しがった。Tehu氏は、「いろいろな人と知り合って、考えるだけでなく実行できる環境を整え行動してほしい」「アイデアを実現できる人こそがイノベーターではないか」と語った。

 閑歳氏は、スマートフォン向け家計簿アプリ「zaim」の開発経験をもとに、開発背景や開発時のハードル、ミクシィの「DeployGate」やNTTレゾナントの「Remote TestKit for Android」など開発に便利なツール、デザインの重要性、「クラウドワークス」「ランサーズ」といったクラウド型アウトソースサービスを紹介した。NFCとの関連では、APIを公開したことにより、サードパーティがNFCを組み合わせたサービスを開発した事例を紹介した。さらに、自身の開発をきっかけに金沢で講演する機会を得たことから、自身の見せ方を示すことが、新しいつながりを築くのに重要になると説いた。

写真3●講師のTehu氏(左)と閑歳孝子氏(右)
開発者の視点から、イノベーションやアプリ開発のノウハウ、NFCの可能性などを解説した。(photo by CENDO, Inc.)
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