図●日本交通がスマートフォン向けに展開する「日本交通タクシー配車」。現在地を表示して来てほしい場所を指定。手配したタクシーの位置が分かる
図●日本交通がスマートフォン向けに展開する「日本交通タクシー配車」。現在地を表示して来てほしい場所を指定。手配したタクシーの位置が分かる
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 東京都内を営業拠点にする日本交通(東京都北区)の「日本交通タクシー配車」も、前回解説したようなGPSと切り離せないサービスの1つだ。利用者とタクシーの位置情報から自動的に最適な配車を実現する(、関連記事:日本交通がカードレス/サインレスの新タクシー料金決済、都内3200台で)。

 iPhoneとAndroid端末向けに用意したアプリを使い、地図から好きな場所を選びタクシーを呼ぶ。対応するタクシーは同社の3200台に加え、全国で提携する69のタクシー会社分を含め、合計で35都道府県、1万5000台に達する。

 使い方は簡単。アプリを立ち上げるとGPS機能で地図上に自分の位置が表示される。自分がいる場所でも、目印になるような近くの商業施設などを指定してもいい。タクシーを呼んだ後は迎えに来るタクシーの位置をアプリで確認できる。

“アナログ”だったタクシー配車をデジタル化

 同社ではアナログからデジタル無線への切り替えやタクシー運行管理システムの導入などで、迅速な配車に取り組み顧客満足度を高める努力をしてきた。一方で、利用者からの迎車要請もパソコンや携帯電話からできるよういち早く取り組んできた。

 しかし、問題となったのは現在地を知らせる方法だった。住所や建物名などをテキストで入力して送らなければならず「電話の方が早い」と普及が進まなかった。この問題がスマホの登場によって解消されたのだ。GPSで得た位置情報をアプリを介して送ることが可能になった。

 システムを開発した日交データサービスの若井吉則・システムグループリーダーは「既に配車の1割がスマホ経由になった。昨年のサービス開始からスマホ経由の配車による売上高も5億円を超えている」と話す。電話などで現在地を聞き、どのクルマを手配して何分ぐらいかかるかなどのやり取りをする手間が省け、顧客の囲い込みに成果を挙げている。