Windows 8がARMアーキテクチャに対応し、Windows RTがハードウエアとともに出荷されるようになった。日本国内でもWindows RTマシンが出荷され、米MicrosoftのSurfaceも販売が開始された(関連記事)。爆発的な人気というわではないが、Windowsがx86/x64以外のアーキテクチャに対応したインパクトは大きく、今後の方向性によっては、大きく成長する可能性もある。

 Windows RTに対応するプロセッサメーカーとして当初Microsoftは、米Qualcomm、米NVIDIAと米Texas Instruments(TI)と発表していたが、実際に出荷されたのはQualcommとNVIDIAのプロセッサを採用した製品のみだった。

 そしてMicrosoftは、Windows RTと同じカーネルを使うとされた「Windows Phone 8」では、標準CPUとして引き続きQualcommの製品を指定している。これは、SoCの周辺装置部分がプロセッサメーカーごとに異なるため、Microsoftが短期間で開発を終了させるためにSoCや標準的なパーツなどを具体的に指定しているからだ。

 Qualcommのアプリケーションプロセッサは、Windows Phone 7/7.5/7.8でも標準として指定されていた。PCでは米Intelが中心になって、PCのアーキテクチャをまとめているために実質1種類のプラットフォームだが、スマートフォンのSoCでは、CPUコア同士の互換性はあっても、それ以外の周辺デバイスの構成はまったく違う。

 このためにMicrosoftは、特定のメーカーのSoCを指定する必要があったわけだ。その中で選択されたのがQualcommの「Snapdragonシリーズ」である。Windows Phoneを足がかりとしてQualcommは、短期間のうちにMicrosoftの製品の主要なプロセッサとなった。さらにQualcommは、最近発表されたFacebook Home搭載スマートフォン(関連記事)のソフトウエアを自社のSnapdragonに最適化するためFacebookと協業していることを発表している。

 これに対して、これまでMicrosoftのソフトウエアに対して主要なプロセッサを提供していたIntelは、かねてよりスマートフォン市場参入への糸口を探っていた。2012年には「Atomプロセッサ」を採用したスマートフォンが出荷され、ようやくの参入を果たした。Intelは一方でMicrosoftへの依存を減らすべく、「Moblin」「MeeGo」「Taizen」という形でモバイル用OSの開発にも関与している。

 MicrosoftのOS、そしてスマートフォンなどのモバイルデバイスで、IntelとQualcommは現在対照的な位置にある。第2回はこの2社の動向を見ていく。