桑原 義幸氏
桑原 義幸氏
広島県
CIO

近藤 聡氏
近藤 聡氏
静岡県
企画広報部 情報統計局
電子県庁課長

山住 健治氏
山住 健治氏
徳島県
経営戦略部 情報システム課
専門幹(情報化担当)

 2日めの午前は、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイス、メールやストレージなどのクラウドサービスを庁内事務で活用することについて、ワークスタイル変革の視点を交えて議論した。コクヨの土山宏邦氏の講演(別掲記事を参照)に続いて、広島県の桑原義幸CIOがiPadを活用したペーパーレス会議導入の取り組みを報告した。

 ペーパーレス会議システムは、会議資料の紙への印刷をやめ、PDFデータなどをサーバーに登録して、出席者がiPadにダウンロードして利用する仕組み。2012年3月に試験導入し、7月から本格利用を始めた。最初に導入したのは、知事をはじめ幹部40~60人が出席する毎週月曜の経営戦略会議。桑原氏は「幹部クラスに意義を理解してもらわない限り、庁内への浸透など無理と考えたから」と意図を説明する。

 同時にコストや職員の負担の軽減も狙った。印刷が不要なので資料の作成期間は3日ほど縮まり、修正があっても元データを直せばよいので再配布の必要がない。会議の3日前には資料をサーバーから入手できるので、出席者のメリットも大きい。

 システムは、30台の無線LANと70台のiPadで構成。「平均年齢が高く心配したが、非常に好評。カラーで見やすいし、議長がページをめくると全員の画面が同期する議長機能も評価が高かった」(桑原氏)。

 全庁的なBPR(業務プロセス改革)にもつながりつつある。「A3判資料が減り、見やすさを意識した資料が増えた。幹部会議に導入したことで、局内の連絡会議でもペーパーレス化が進んでいる。最終的には全庁に広げ、職員の意識改革へつなげていきたい」(桑原氏)という。

 講演後の質疑応答では、鳥取県の森本氏が「モバイルの利用や業務の効率化は、トップダウンでないとうまくいかない。トップの明確なメッセージがあったか」と質問した。