二次利用に行政は責任を負えない

野田 和徳氏
野田 和徳氏
奈良県
総務部情報システム課参事
CIO補佐官

佐藤 淳氏
佐藤 淳氏
福岡県
企画・地域振興部 情報政策課
情報政策アドバイザー

森本 浩之氏
森本 浩之氏
鳥取県
企画部 情報政策課長

 奈良県の野田和徳情報システム課参事CIO補佐官からは、講演者の川島氏に対して「統計は統計課、土木は土木課など縦割りでばらばらに情報発信しているのが現状。この状況を乗り越えるためのアイデアが欲しい」との質問が出された。

 川島氏は「オープンデータは新しいコンセプトのように受け止められているが、それは誤解。鳥取県の予算編成過程の開示、岐阜県・長崎県の予算執行データ開示などが既に実施されている。ただ所轄原課に任せる発想はやめなければならない。重要なのは情報をどう扱うかであり、CIOが横串を刺して庁内調整すべき」と答えた。

 また、データをどこまで公開するかについて川島氏は、「二次・三次利用の結果まで(県やCIOが)責任を負えるはずがない。13年1月に立ち上がった経済産業省の『Open DATA METI』というサイトでは、利用規約の中で利用者側が責任を持つように定めている。リスクやコストに負担を感じるのは当然だが、それ以上に公開によって効果が出る分野があるはず」と訴えた。

 情報公開の対価に関する議論も起こった。福岡県の佐藤淳情報政策アドバイザーは「オープン=フリーではない。コスト負担はどうすべきか。営利目的ならコストを負担してもらっていいのでは」と問題提起した。

 それに対して鳥取県の森本浩之情報政策課長は、「情報公開された書類のコピー代を徴収することすら、ハードルが高いと感じる。住民のものなのにお金を取るのは変という考えが根強くある。発想を変えて、データを作る手間を減らすなど、コストをかけないで公開できる仕組みを整えることを考えた方がいいのではないか」と意見を述べた。