メンタルヘルス不調という「心の病」は、IT業界が抱える、解決の糸口が見えない根深い問題──。そうした厳しい現実を改めて浮き彫りにするアンケート結果が出た。この問題から目を背けないためにも、結果をきちんと検証したい。

 今回の「ITpro会員100万人に聞く!ICT大調査」ではメンタルヘルスについて質問した。すると1週間のアンケート期間中に、これまでで最大の583人から有効回答を得た。メンタルヘルス問題に対する関心の高さがうかがえる。回答者の約60%が40~50代であり、中間管理職(ミドル)層の問題意識が高いのも特徴だ。

 最初に結果を要約すると、こうなる。

 「回答者の約40%がメンタルヘルスに不調を感じ、多くの人は5年以上も前から慢性的に苦しみ続けている。だが不調を感じる人の約70%は、上司や人事部門に相談できず、悩みを抱え込んでしまったまま。メンタルヘルス不調の主たる要因には『マネジャーの能力不足やパワハラ』『職場のコミュニケーション不足』を挙げる人が多かった」

 私はこのなかでも「約70%は上司や人事部門に相談できずにいる」という苦しい現実と、メンタルヘルスの不調は「5年以上前から続いている」という問題の長期化と放置に、大きな課題を感じた。これは、IT業界が従業員のメンタルヘルス問題の解決を先送りにしてきた結果にほかならない。

 ITproは2000年のスタート以来、何度もメンタルヘルス問題を取り上げてきた(関連記事:専門家がこっそり教える「メンタルヘルス対策」のキーワード)。だが13年前よりも、今の状況はむしろ悪化していると考えた方がいいだろう。