第一線のITエンジニアは、いったいどんなことにやりがいや喜びを感じているのか。また、具体的にどんな「志」を抱いているのか―。
Part2ではTIS、JSOL、日本IBM、NTTデータを代表するトップITエンジニア4人が登場する。彼らのキャリアや苦労、突破する原動力、そして志から「だからITエンジニアはやめられない」という理由をつかんでほしい。
多くの人の助けになりたい
「プルルル…」。TISのITエンジニア、熊谷宏樹氏(コーポレート本部 戦略技術センター シニアエキスパート)の電話が今日も鳴った。
電話の主は、ある現場のプロジェクトマネジャーである。内容は、技術的なトラブルを解消してほしいという依頼だ。「分かりました。すぐに向かいます」。電話で簡単に内容を確認し、熊谷氏はすぐさま現場に駆けつける。そして、トラブルの原因を突き止め、その場で解決する。
もちろん、熊谷氏が技術的な課題をすべて解決できるわけではない。しかしその不安は周りに見せない。ただ黙々とトラブルを解決していくだけだ。そして見事に技術的な課題を解決したとき、熊谷氏は「よし」と心の中で小さくつぶやく。
達成感に浸れる瞬間であり、相手からも感謝の気持ちを伝えられる。このとき熊谷氏は、改めてITエンジニアという仕事のやりがいをかみしめるという。
全社的なシステム基盤を企画・展開する熊谷氏のもとには、絶え間なくこうしたトラブル対応の依頼電話がかかってくる。必要とされていることを実感すると同時に、トラブル対応は自分との戦いとも感じている。日々精進しなければと気を引き締める。
そんな熊谷氏の志は「多くの人の助けになりたい」だ。49歳を迎えた今、社内で熊谷氏への信頼は厚い。いざというときに解決してくれると、みんなが信じている。この「頼られている」という実感が、熊谷氏の成長を支えてきたといえる。