図1●Windows RTを採用したMicrosoft Surface RT
図1●Windows RTを採用したMicrosoft Surface RT
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 Windows RTを搭載する端末として、NECの「LaVie Y」、ASUSの「Vivo Tab RT」に続き、2013年3月15日に日本マイクロソフトから「Surface RT」(図1)が国内向けに発売された(関連記事1関連記事2関連記事3)。これにより、再び「Windows RT」というOSに注目が集まっている。

 Surface RTはMicrosoftによる初のPC製品という点で高い注目を集めている。だが、ソフトウエア面では、LaVie YやVivo Tab RTといった他のWindows RT機と同等である。

 Windows RTは、2012年10月26日のWindows 8発売とともに登場した。それから半年近くが経過した現在でも、「Windows RTのメリットとは何か」という疑問の声を聞くことが少なくない。PCに詳しいユーザーの間でも「x86アプリが動作しない、Windows 8の機能限定版」といった認識にとどまっているように感じられる。

 そこで連載第1回となる今回は、Windows RTのWindows 8に対するメリットとは何なのかを、これらのOSの位置付けを明らかにしながら、考察してみたい。

Windows RTの“RT”は何の略なのか

 まずは、「Windows RT」という名前について考えてみよう。

 開発当初、Windows RTは「Windows on ARM」という名前で呼ばれていた。文字通り、ARMプロセッサ上で動作するWindowsという意味だ。その後、製品版ではWindows RTという名前に変更されたが、その“RT”が何を意味するかについて、Microsoftは明言していない。Windows RTに近しい日米のMicrosoftの関係者に尋ねても、「社内でも何の略なのか知られていない」と要領を得ない。

 この名称について、「Windows RTとWinRT APIは関係がない」という説明をよく見かける。WinRT APIとは、Windows 8とともに登場した「Windowsストアアプリ」の開発に用いる新しいAPIの名前である。WinRTは「Windows Runtime」の略であり、それほど深い意味はなさそうだ。

 だが、ちょっと待ってほしい。Windows “RT”と同時期に登場したWin“RT”という名前のAPIについて、両者が全く無関係なのは、むしろ不自然ではないだろうか。

 後述するようにWindows RTはデスクトップアプリの利用が制限されており、Windowsストアアプリを使うためのOSといっても過言ではない。このことからWindows RTは、「WinRT APIで作られたアプリに特化したWindows」を意味していると筆者は考えている。