写真●山本員裕・帝人グループ執行役員経営企画本部長
写真●山本員裕・帝人グループ執行役員経営企画本部長
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 「ビジネスモデルの変革につながるIT化を進めていく」。帝人でCIO(最高情報責任者)相当職を務める、山本員裕・帝人グループ執行役員経営企画本部長はこう意気込む。

 2020年度には現在の2倍以上の売上高2兆円を目指す帝人。「高機能繊維・複合材料」や「ヘルスケア」、「電子材料・化成品」などの事業を融合し、総合力を高めることでさらなる成長を目指す。

 経営目標を達成するため、これまで事業部ごとにばらばらだった業務システムの統一や、事業部をまたがったデータ共有の促進を図るなどシステム面の整備を着々と進めているという。今後は、「ITガバナンスの強化により、グループ全体のIT投資案件の管理やIT投資の最適化を図る」(山本執行役員)。

 その手段として、クラウドサービスの利用も積極的に推進する。さらにタブレットやスマートフォンの業務利用も進める。既に一部の営業担当者にiPadを配布しているが、現時点の主な用途はプレゼンテーション。「タブレットから社内システムを利用できるようにするなど、本格的な業務利用を模索しているところ」と山本執行役員は言う。

 クラウドやタブレットなど最新ITを積極的に導入し、経営に貢献するIT化を促進する。山本執行役員は、「経営革新につながるIT化を迅速に進めるには、インフォコム、システム部門、利用部門が垣根をなくし、一体となることが欠かせない」と強調する。

 医薬事業や経営企画、システム部などを経験し、帝人のシステム子会社であるインフォコムの社長も務めた山本氏。利用部門、システム部門、システム子会社の担当者の立場や役割、職場のムードなどについては、よく知っている。

 山本氏は、「私が過去にプロジェクトリーダーを務めたシステム構築プロジェクトでは、(システムの)受注者と発注者という意識を取っ払うため、インフォコムの担当者を(本社に)出向させるなどして、1つのチームにまとめあげた。これがプロジェクトの成功につながった」と経験談を話す。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・うそはつかない。イエスマンにならないよう意識し、自分の意見を進言する。
◆普段読んでいる新聞・雑誌
・『日経ビジネス』(日経BP社)、『ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)などの経営誌。
◆最近読んだおすすめの本
・時代・歴史小説家である宮城谷 昌光氏の著書(『孟嘗君』や『重耳』など)のほぼすべて読破。古代中国の偉人にスポットを当てた作品は、今の生き方にも学びがあるという。
◆ストレス解消法
・健康維持のために週末には、妻と2人でウォーキング。物事を1人でじっくり・ゆったりと考えるために、風呂に1時間くらい入ることも日課の1つ