IT業界の新入社員のみなさん。まずは入社おめでとうございます。社会人1年生として、またIT業界に生きる人間として、これから必要な心構えを、先輩の1人として説明させていただきます。

 社会人として必要なビジネスマナーやコミュニケーションについては、新人教育を各社でおやりになるでしょうから、私はその先のことをコンサルタントとして、少し論理的に説明します。理屈っぽい話になりますが、お許しください。

 若いうちは右も左も分からないことだらけでしょうから、まずは身近な先輩辺りで「自分もこんな人になりたいな」と思える人を見つけるのが生き残りのコツです。これを「ロールモデル」と呼びます(図1)。

図1●うまく生き残るコツ
図1●うまく生き残るコツ
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 その先輩に教えを乞い、マネをしてみるのです。後輩に言われれば、先輩も悪い気はしないもので、色々と教えてくれるでしょう。

 これは、会社内での生き残りのコツでもあります。つまり、要領よくマネすることが、若い時代の能力向上の秘訣なのです。

 もちろん、経験を積み重ねていくと、次第に別のロールモデルに憧れるようになります。自分よりも優れた人間を目指してスキルを身に付けていけば、次第に自分のスタイルが確立されていきます。私の経験では30歳ぐらいでした。

3Kになるかは自分次第だと心得なさい

 私が社会人になった1980年代は、IT業界が輝いていた時代でした。IT業界は年々成長し、マスコミもこぞって、IT関連の記事を出していました。その時代から、この業界は労働時間が長く、キツイ仕事ばかりでした。

 大型汎用機からパソコン、インターネットへと技術は進歩し続け、2000年代になって、IT業界は「3K(キツイ、帰れない、給料が安い)」と言われるようになりましたが、昔から現場はそうだったのです。

 違いは、昔はIT自体が新産業として期待されて成長していたのに対して、現在は、ITが社会的なインフラとして浸透し、当たり前の存在になって日の目を見なくなったことです。

 私は経営コンサルタントとして様々な業界を見てきましたが、どの業界も現場は3Kなのです。IT業界だけが、特別にキツイ訳では決してありません。

 仕事がキツイという目の前の状況を、自分の将来に必要な「修行」と思えるかどうかで、気の持ちようが全く変わってきます。

 何しろ人生は長いので、同じようなつらさは、これからもよくあることなのです。そこから毎回逃げてばかりいては、脱落者になってしまいます。

 どうせキツイなら、それを楽しむぐらいの心構えでないと、どんな業界でも生き抜いていけないでしょう。