ソフトバンクモバイルは2013年3月21日、iPhone 5などで既存のLTE回線に加え、イー・モバイル(イー・アクセス)のLTE回線も利用可能となる「ダブルLTE」の提供を開始した。長く“つながりにくい”と言われてきたインフラ改善に、ダブルLTEをはじめとしたソフトバンクモバイルの改善施策はどのような影響をもたらしているのだろうか。

ダブルLTEはイー・アクセス買収の成果

 ソフトバンクが、「イー・モバイル」のブランドで携帯電話事業を展開するイー・アクセスの買収を発表したのは、昨年の10月1日。今年の1月1日には完全子会社化を実現したが、その後イー・アクセスの独立性を確保する必要があると判断。議決権付きの株式のうちおよそ6割を、グループ外の11社に譲渡した。イー・アクセスは現在、ソフトバンクの関連会社となっている。

 そして、ソフトバンクがイー・アクセスを買収した目的こそ、周波数帯の確保であった。イー・アクセスが所有する1.7GHz帯は、3Gでは日本以外ではあまり利用されていない一方、LTEでは世界的に利用されている帯域となる。ソフトバンク傘下であるソフトバンクモバイルの課題となっていた高速通信用の帯域確保を、買収という形で解決した訳だ。

 そして今回提供が開始された「ダブルLTE」は、ソフトバンクモバイルが元々展開している2.1GHz帯のLTE網に加え、イー・アクセスが持つ1.7GHz帯のLTE網が利用できるようになるというもの。ソフトバンクモバイルとイー・アクセス、双方の混雑状況を共有し、つながりやすい回線に誘導する仕組みなども備えているという。

 ダブルLTEが利用できる端末は、LTEサービス「Softbank 4G LTE」に対応しているiPhone 5、iPad mini、iPad retinaディスプレイモデルの3機種のみ。同社の主力商品がiOSデバイスであることから、Android端末にはLTEではなくAXGPを主体に利用し、すみ分けを図る方針を示している。

 またダブルLTEの展開は、池袋周辺を皮切りとして、山手線周辺を中心に都市部から徐々に展開されていく方針とのこと。全国で一気に展開していく訳ではないようだ。

ソフトバンクモバイルとイー・アクセス、双方のLTE網が利用可能となる「ダブルLTE」を開始。互いの基地局と情報を共有し、混雑していないネットワークへの接続を促す
ソフトバンクモバイルとイー・アクセス、双方のLTE網が利用可能となる「ダブルLTE」を開始。互いの基地局と情報を共有し、混雑していないネットワークへの接続を促す
ソフトバンクモバイルとイー・アクセス、双方のLTE網が利用可能となる「ダブルLTE」を開始。互いの基地局と情報を共有し、混雑していないネットワークへの接続を促す
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