Windows 8 + 新しいOfficeという最新の環境において、Windows以外のさまざまなプラットフォームに対してもMicrosoft純正のアプリが提供されデータを同期して使えるのは、現時点ではメモアプリの「OneNote」だけだ。だからこそ、Microsoftがモバイルプラットフォームを、これからどうしていこうとしているかをいち早く感じるには、このOneNoteアプリの動向を追いかけるのがよい。
OneNoteは、写真やテキストをノートブック、セクション、ページという階層構造で管理できる典型的なメモアプリだ。新しいOfficeは、デフォルトのデータ保存先がSkyDriveになって、パソコン間のデータ同期には不自由しなくなった。だが今のところ、多くのアプリはWindows以外の環境向けに文書を読み書きするための純正アプリが提供されておらず、ちょっと不便に感じる。でも、OneNoteなら、各プラットフォーム用のアプリがあるので安心だ。
先日、そのOneNoteがアップデートされ、Office 365にも対応するようになった。Office 365のアカウントをWindows 8に紐付けておくことで、Office 365のノートブックが利用できるようになる。
プラットフォームごとに操作や機能が異なるのがストレス
OneNoteにおいて、複数のプラットフォーム間を行き来する上で注意したいのは同期のタイミングだ。たとえば、仕事場のデスクで書いている途中のメモを、AndroidスマートフォンやiPadを使って参照したり、続きをメモしたりといったことをしたい場合、すぐには同期が反映されないことがある。このため、できれば手動での同期を心がけた方が無難だ。だが、OneNoteのストアアプリには手動で明示的に同期する機能がなかったりする。
こんな具合に、プラットフォームごとにちょっとずつクセがあり、それが異なるのもやっかいだ。Microsoft純正ということに期待されるのは、やはり統一感ではないかと思う。
デスクトップアプリ版のOneNoteが最も使いやすいのは当たり前だが、その環境でさえ、たとえばInternet Explorerで選択したオブジェクトをドラッグ&ドロップで貼り付けることができない。ところが、Chromeならそれができるのだ。Webページのテキストや画像を選択して、それをOneNoteにドラッグすると、そのテキストと、貼り付け元のURLがノート上にペーストされる。
さらに、ストアアプリならピンチ操作でズームイン、ズームアウトができるのに、iOSやAndroid版ではなぜかそれができない。
ある環境でできたことが、別の環境ではできないといったまちまち感が払拭されれば、かなり使いでのあるアプリであるだけに、惜しいところだ。プラットフォームをまたぐなら、それらは相似であってほしいと思う。
フリーランスライター