第7回ではユーザーの動機の理解の重要性について説明し、理解の助けとなるフレームとして16の基本的な欲求を紹介した。今回も引き続き、動機の理解を深めるうえで参考となる考え方を紹介していく。

 オンラインゲームの知見として得られたプレイヤーの分類として「バートルプレイヤータイプ」という考え方がある。これは、英国のオンラインゲーム研究者かつ開発者リチャード・バートル氏が考案したものだ。

オンラインゲームのユーザーを遊び方で4つに分類

 バートル氏は世界ではじめてのオンラインゲームといえる「MUD(Multi User Dungeon)」を開発した人物として知られる(ウィキペディアのMUDの説明)。学者でもあったバートルは、オンラインゲームをプレイするユーザーをその遊び方によって図1のように大きく4つに分類した。なお、8つに分類したバージョンも存在しているが、概要を理解するうえでは4つの分類の方が分かりやすいため、本記事ではこちらを採用した。

図1●オンラインゲームをプレイするユーザーをその遊び方によって大きく4つに分類
図1●オンラインゲームをプレイするユーザーをその遊び方によって大きく4つに分類
[画像のクリックで拡大表示]

 分類の軸としては縦軸に関わり方の姿勢(自らが主体的に関わるActing、相互的に関わるInteracting)、横軸に対象(ゲーム内世界を対象とするWorld、ゲーム内プレイヤーを対象とするPlayer)を取っている。それぞれ、どのようなプレイヤーかを簡単に説明しよう。

アチーバー(Achievers)

 達成意欲の高いプレイヤーである。「自分の能力を高めたい」「早くゴールに到達したい」「たくさんのアイテムを獲得したい」といったことにモチベーションが湧くのがこのタイプのプレイヤーの特徴だ。一方で他者との交流についてはそれほど関心を持たない層でもある。自身の達成意欲を満たすことにつながる場合にのみ交流活動に意義を感じるが、そうでなければ自ら関わろうとはしない。

 マンガやアニメのキャラクターを思い浮かべれば、「ドラゴンボール」の「孫悟空」、「ONE PIECE」の「ゾロ」、「バガボンド」の「宮本武蔵」といったキャラクターがこれに当てはまるだろう。

エクスプローラー(Explorers)

 好奇心の強いプレイヤーである。新しい世界を知りたい、行ったことのないところに行きたい、見たことのないものを見たい、背景にある製作者の思想やストーリーを深く理解したい、といったことにモチベーションを感じるタイプである。このタイプのプレイヤーは自分の知ったことを人に共有したり、教えたりすることにも喜びを感じることがある。

 やはりマンガ/アニメを思い浮かべると、「ONE PIECE」の「ルフィ」、「ギャラリーフェイク」の「藤田玲司」、「HUNTER×HUNTER」の「ゴン=フリークス」などがイメージされる。