プロマネ×DevOps

改修はDev・Ops共通課題、周期つかんで乗り越えよう

上田 志雄
ティージー情報ネットワーク
基盤戦略推進部 アプリ基盤グループ
シニアプロジェクトマネージャー。
衛星通信アンテナ建設からシステム開発まで幅広い分野のプロジェクトを経験。2007年よりJUAS主催「ソフトウェア文章化作法 初級/若手向け」の講師

 最近の企業システムは頻繁に拡充・改修が求められます。それは大きな課題だからこそ「DevOps」に注目が集まっているわけですが、いきなりDev(開発)とOps(運用)に分けて考えるのはよくないと思います。マネジメント担当者はDevとOpsの対立軸で捉える前に、両者にとって共通の課題だと認識することが大事です。

 なぜシステムは拡充・改修するのでしょうか。ここから考えてみましょう。それは利用者の期待値が変わるからです。カットオーバー時点で要望を満たすシステムであったとしても、時間の経過とともに利用者の期待値はだんだんと大きくなります。これはビジネスの変化のみならず、IT環境の変化や利用者のITリテラシーが上昇することなどに起因します。

 期待値が上がればそれが基準となり、それまで全く問題がなかったシステムであっても物足りなくなります。利用者は不満を抱くようになります。この不満を解消するために、システムの拡充・改修が求められるのです。

 拡充・改修にうまく対応するには、それらの要因に目を向けます。そしてそこに一定の「周期」があることを理解する必要があります。例えば、法制度の改正、人事異動、ハードやソフトのサポート終了など。いずれも周期があります(もちろん周期性のないものもあります)。周期があるということは、それをつかんでいれば計画的に対応できるということです。

計画的に提案し続けることが大切

 拡充・改修の周期を見極め、優先順位を付けて計画を立てる。これがマネジメント担当者のすべきことです。

 その際、何も考えずに優先順位を付けると優先度の高いものばかりになってしまいます。一つの方法は対応時期が動かせるかどうかで整理することです。例えば、消費税が上がることへの対応は時期を動かせません。ハードやソフトのサポート期間も同様です。従ってこれらの優先度は最上位に位置づけられます。一方で、IT環境の変化に伴う要求などは、明確な対応時期はないといえるでしょう。このように整理して計画性を持ち、システムオーナーに適切な提案をし続けることが大切なのです。

 ここで注意すべきは、拡充・改修の要因にはDev側とOps側があることです。バラバラに計画を立ててうまくいくはずがありません。それぞれの計画をマッチさせねばなりません。そのためには、DevとOpsがそれぞれ次の3点について認識しておく必要があります。「1.システムが支えるビジネス」「2.お互いの拡充・改修の要因とその周期」「3.システム投資の規模」です。

 ここで、「DevはともかくOpsが、システムが支えるビジネスについてどこまで知ることができるのか?」と疑問に思う読者もいるでしょう。これについて開発者向けのイベント「XDev 2012」(日経BP社主催)でこんな発言がありました。「開発者(DevとOps)はビジネスのことを完全に知っておく必要はありません。そんなことはそのドメインのエキスパートに任せましょう。システムが支えるビジネスに興味を持ち、そのビジネスを一緒にやりたいという気持ちがあればいいのです」。筆者も同感です。