数あるアプリのジャンルの中でも、特にApp Storeでのダウンロード数や売り上げが比較的高いのが「ブック」のジャンルに属するアプリ、すなわち電子書籍だ。最近あらゆる企業が電子書籍への取り組みを積極化させていることもあり、利用が増えてきているようだ。

 そこで今回は、App Storeの「ブック」ジャンルのランキングを中心として、iPhoneやiPadのアプリマーケットにおいては、どのようなジャンル、どのようなスタイルの電子書籍が人気となっているのかを見ていく。

App Storeで人気の電子書籍アプリ

 ここ数年、高い注目を集めている電子書籍。出版関連各社を中心にさまざまな取り組みが実施されている。2012年末には米アマゾン・ドット・コムの「Kindle」が発売され、2013年は米アップルの「iBookstore」で日本語の電子書籍が販売されるなど、米国勢が相次いで日本の電子書籍市場に参入してきたことで、一層の盛り上がりが期待される。

写真1●アップルの「iBookstore」
写真1●アップルの「iBookstore」
3月6日に日本語版コンテンツの配信を開始した。
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 もっとも、既に多くの企業が電子書籍に取り組んでいる。そのため、iPhoneやiPadではアプリを経由することで電子書籍を楽しむスタイルが広まってきている。実際、App Storeの有料アプリランキング「トップ有料」においては、多くの電子書籍アプリが上位にランクインしてきているほか、iPad版の「トップセールス」ランキングでは、ゲームより電子書籍ストアのアプリが上位にランクする傾向が強く、その支持の高さがうかがえる。

 しかし一方で、もう1つのスマートフォン向けプラットフォームであるAndroidにおいては、マーケットの仕組みやユーザー層などが影響してか、電子書籍系のアプリが人気となるケースはほとんど見られない。マーケットによって劇的な差があるというのは非常に特徴的だが、電子書籍を扱ううえで、App Storeが非常に重要な市場であることに間違いはないようだ。

 歴史を振り返れば、電子書籍としては最も大きなマーケットを築いたフィーチャーフォン向けの電子書籍市場では、女性向けの特定分野のコミックが最も人気を博すなど、一般書店とは全く異なる傾向が見られた。それと同様に、同じモバイルコンテンツを扱うApp Storeでも、一般の書店とは人気となる本の傾向に大きな違いが見られる可能性もある。

 では現在、App Storeではどのような電子書籍が人気となっているのだろうか。また、iPhone、iPadといった端末の違いや、有料、無料、アプリ内課金といった販売スタイルによって、人気ジャンルに違いは出てきているのだろうか。App Storeの「ブック」カテゴリのランキングから、その傾向を確認していく。