スマートフォンやタブレットに使われるプロセッサは、単体ではなく、グラフィックスなどの周辺回路を統合したSoCとして作られる(図1)。特にスマートフォン向けのアプリケーションプロセッサは、グラフィックスやメディア処理、その他必要な周辺回路を統合し、外部の部品が少なくなるように作られることがほとんどだ。

図1●アプリケーションプロセッサの内部ブロック
図1●アプリケーションプロセッサの内部ブロック
スマートフォンやタブレットは、このようなSoCといくつかの外部デバイスから構成されている。
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 もともとSoCは、小型化が大きな方向性だった携帯電話から引き継いだものであり、小型化することでシステム全体のコストを下げられる。

 主要な要素としては、以下のようなものがある。

  • CPUコアと関連部分(キャッシュやマルチコア、メモリーコントローラその他)
  • GPUとディスプレイコントローラー
  • 省電力機構
  • メディア関連
  • ベースバンド

 ただし、なんでも統合してしまえばいいのかというとそんなことはない。統合する回路によっては、外部部品が多くなってしまい、結果的にパッケージから出さなければならない信号ピンが多くなりすぎるため、あえて外部に残すという考え方もある。

 例えば無線関連の部品は、CPUなどのデジタル回路とは異なるアナログ回路のものがあり、同じダイに統合することが難しいものもある。また、コイルなどの外付け部品が必要で、そのための端子が必要になることもある。あるいは、必要な機能を実現する単体デバイスが広く使われていて、統合するよりも、外付け部品にしたほうがコストが下がるという場合もある。なんでも統合すれば、コストを下げられるというものでもない。

 無線LANなどのデバイスは、どのスマートフォンやタブレットにもいまや必須の機能だが、既に実績のあるデバイスが販売されている。これらを接続して使ったほうがシステムコストを下げられることも少なくない。デジタル信号のレベルで接続したほうが、必要な信号端子の数も少なくなるというメリットもある。