総合ランキングでは、知名度がある大手企業が上位を占める傾向がある。企業研究があまり進んでいない学生は、「とりあえず知っている会社を受けてみよう」と短絡的に決めることもあるからだ。IT業界各社に対する学生からの評価は、総合ランキングよりも志望理由別のランキングの方が分かりやすい。
志望理由別で個性を測る
調査では、志望する企業ごとに志望理由を尋ねた。「会社の魅力」「仕事の魅力」「雇用の魅力」それぞれでの六つの選択肢(うち一つは「特定のイメージはない」)を用意し、回答者は魅力の種類ごとに一つだけ志望理由を選ぶ。その志望者が占める割合が高い順にランキングしたものが図1である。
例えば、図1の左上にある日立システムズは、同社を志望する学生の半数(51.0%)が「会社の魅力」として「技術力がありそう」を選んだことを意味する。このように、志望理由別ランキングの上位企業は、企業の個性が学生に強く伝わっているとみてよい。
半数以上が特定の志望理由を掲げる個性の強い企業は、日立システムズのほかにもある。東京海上日動システムズは、「安定していそう」という志望理由を掲げる学生の割合が最も多かった(志望者の63.6%)。ジェイアール東日本情報システムは、身近な鉄道インフラを支えているせいか「社会に役立つ仕事ができそう」(同72.7%)で1位だった。
三菱総研DCSは「ITなど専門スキルが身に付きそう」(同55.2%)、ディー・エヌ・エーは「実力があれば若いうちから活躍できそう」(同55.8%)、ドワンゴは「社風・居心地が良さそう」(同54.8%)、アイ・ティ・フロンティアは「教育研修に熱心そう」(同52.6%)で1位だった。