2カ月ほど前、この連載の中でアメリカのPR会社であるウェーバー・シャンドウィックから発表された「Socializing Your CEO II」というレポートについて紹介した(該当記事:意外と少ない? 世界の“ソーシャルCEO”)。今回はこの記事の続編的なものをお送りしよう。

 このレポートを日本語訳されたものが「第2回ソーシャルCEO調査」として公開されている。日本語訳の公開に合わせて、レポートをまとめあげた同社ストラテジストのレスリー・ゲインズ―ロス氏が来日した。そこで、企業、そして経営者が、ソーシャルメディアに相対するためには、どういうことを考えていくべきかを聞いてみた。

トップの取り組みこそが企業の評判を左右する

 そもそも、企業がどのようにソーシャルメディアに取り組んでいるのか、その動向や事例を目にする機会は、米国でも、そして日本でも数多く見ることができる。だがCEO、あるいは経営者のソーシャルメディア活用という部分に着目した内容は非常に少ない。これに対しゲインズ―ロス氏は、CEOのソーシャルメディア活用、もといCEOがいかにソーシャルメディアに相対していくかが今後ますます重要になってくると指摘している。

 実際に、CEOによって企業そのものの評判が左右されることも少なくない。ソーシャルメディアの普及によって、顧客がCEOの声に触れる機会も増えてきており、かつ、それが顧客から求められるものにもなってきている。そのため、ソーシャルメディアに限らず、インターネット上でCEOの評判がどのようなものとなっているのかを、企業は常に把握しておくことが重要となってくるだろう。

 日本の感覚で考えると、どうしても自分のTwitterアカウントなどで積極的な情報を発信し、ともすれば企業としての意思もソーシャルメディア上でのやり取りをきっかけに決定してしまう、といったCEOを連想してしまいがちだ。だが、それはあくまでも手段の一つでしかないということだ。

 ゲインズ―ロス氏も、『「ソーシャルCEO」と言っても、それは別にCEO自らがソーシャルメディア上で積極的にコミュニケーションを行わなくてはならないということではない』と指摘する。もっとも大事なのは「企業としての顔を見せる」ということ。つまりCEOを「企業の顔」としてきちんと位置づけ、その「企業の顔」としてのCEOを何らかの形でインターネット上で見せていくだけでも十分に「ソーシャルCEO」である、とゲインズ―ロス氏も強調している。