Android Bazaar and Conference 2013 Spring(ABC 2013 Spring)が2013年3月15日~16日、東京都日野市の明星大学で開催された。日本Androidの会が主催する展示会およびカンファレンスである。基調講演では、今後のAndroidアプリ開発の方向性や、障がいを持つ人を支援する国際標準規格ISO/IEC 12905(支援リクエスト)とAndroidスマートフォンを組み合わせて活用できないか、との問題提起が目をひいた。

写真●ABC 2013 Spring 基調講演
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「AndroidとChromeの統合が拡大するHTML5+JavaScriptアプリに今すぐ備えよ」、日本Androidの会 丸山理事長

 NPO法人 日本Androidの会 理事長の丸山不二夫氏の題名は「Androidの次の飛躍を考える──Webアプリ/HTML5開発の新しい動向」。

 丸山氏は、日本Androidの会が2011年の東日本大震災の後にハッカソン活動に協力したことや、東北大学で開催したイベント「ICT ERA+ABC」などを紹介し、スマートフォン/タブレットの時代が到来していること、Androidはその中ではOSシェアが最も大きいこと、個人による「もの作り」を行うMakerやFabLabという新しいムーブメントが起こっていること、等々を紹介していった。

写真●日本Androidの会 理事長の丸山不二夫氏
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 そして丸山氏は「サーバーサイドのWebアプリと、クライアント中心のネイティブアプリの中間に新しいアプリケーションの形態が生まれつつある」と指摘する。新たに登場してきたモバイルOSであるFirefox OSやTizenでは、パッケージ化され、配布可能なWebアプリケーション「パッケージ型Webアプリ」を採用する。パッケージ型Webアプリのほかにも、ウィジェット、JavaScript MVCフレームワークによるアプリといった、アプリケーションの新たな形態が生まれている。今後はサーバー側からデバイス側へ処理の負担を移すTSA(Thin Server Architecture)が見直されていくのではないかと丸山氏は予測する。

写真●新しいWeアプリ
日本Androidの会 理事長 丸山氏の基調講演資料より
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 そこで共通言語となるのは、やはりJavaScriptであり、HTML5の重要性が増してくと丸山氏は見る。また今後のAndroidはChrome OSとの統合が噂されている。JavaScriptの処理性能は最近になって急激に向上している。「2011年に飛躍的に実行性能が高まった」。このことで、開発環境としてのHTML5の潜在能力は高まっている。

写真●JavaScriptの処理性能が急激に向上
日本Androidの会 理事長 丸山氏の基調講演資料より
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 丸山氏はスマートフォンで「次の10億人」のマーケットを目指す動きが始まっていることを指摘、低価格Androidが、その流れを牽引すると語った。「日本のニーズが飽和しているように見えたとしても、グローバルな市場は爆発的に拡大しようとしている。その次の10億人へ向けてアプリを作ろう。JavaScript+HTML5を中心とした新しいWebアプリの世界への準備をただちに始めよう」と呼びかけた(丸山氏の講演資料)。