マイナンバー法案がいよいよ2013年3月中にも成立する公算が強まっている。IT関連の今後の検討スケジュールや、政府CIOの関わり方も明確になってきた。

 政府は2013年3月1日、マイナンバー制度の法案と関連法案を国会に提出した。与党は3月中の成立を目指している。野党の民主党も賛成に回ると見られる。成立後は「2015年秋から郵送で番号を個人に通知」「2016年1月から番号を使った納税申告や社会保障業務を開始」というのが大枠のスケジュールだ()。

図●マイナンバー向け基盤システム構築のスケジュール
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 IT関連では、マイナンバー制度に必要な、国税システムや国民年金システム、地方自治体システムなどの相互連携が2017年1月から順次始まる。これに向けた新規システムの構築について政府は、2013年末までに開発業者を選定し、構築に2年弱、運用テストやセキュリティ面の監査に1年強をかける予定だ。既に調達の準備や、仕様書作成を支援する業者の選定などを進めている。

 今後の焦点となるのが、共通番号を秘匿しながら個人の一部情報を照会できるようにするための「情報提供ネットワークシステム」や、個人が番号の利用状況を確認できる「マイポータル」といった基盤システムの構築だ。情報提供ネットワークについては3月下旬に説明会を実施し、5月中旬に業者を決定する予定だ。

 今国会に提出した関連法案では、2012年8月に設けた「政府CIO」の役割や権限を正式に規定した。マイナンバーの基盤システムも含め、省庁横断的なITの整備計画を策定するほか、経費見積もりや調達・整備、評価などの方針を策定し、作業にも関わる。政府CIOの正式名称は「内閣情報通信政策監」となり、IT戦略本部の本部員として政府のIT戦略策定にも関わる。

 既に政府CIOはマイナンバー向けシステム調達に関わり始めている。内閣官房の社会保障改革担当室が2013年度予算案を検討する際に、2012年8月に就任した遠藤紘一氏が率いる政府CIO室が基盤システムの見積もりを精査した。前政権が2012年度予算で410億円弱を確保していた構築費用はおよそ半分で済むと判断し、2013年度の予算案での計上額は約190億円に減らした。「重複する機能や流用できる機能を洗い出した結果だ」(社会保障改革室)という。省庁横断でシステムを見直す政府CIO室の存在意義を早くも示した格好だ。