iOSとAndroidに続く第3のスマートフォンOSとして、米モジラファウンデーションの「Firefox OS」とタイゼンアソシエーションが推進する「Tizen」が急浮上してきた。いずれもHTML5のWebアプリを中心に据えたオープンソースソフト(OSS)だ。
2月25日~28日にスペインで開催された世界最大級の携帯電話の展示会「Mobile World Congress 2013」でそれぞれ新版を発表。2013年中に搭載端末が登場する。特にFirefox OSは世界の大手キャリア17社が支持を表明するなど、急速に存在感を増している。
国内ではNTTドコモが2013年中にTizen、KDDIが2014年ごろにFirefox OSの搭載端末を投入する見込みだ(表)。Firefox OSは中国ZTEや韓国LG電子、Tizenは韓国サムスン電子などが搭載端末を投入する予定である。国内発売が未定のWindows Phone 8などに先んじて、第3のスマホOSの座に付く勢いだ。
Firefox OSはモジラが開発を手掛けているのに対し、Tizenは韓国サムスン電子や米インテルが中心となって開発している。
Firefox OSやTizenの特徴は、Objective-Cを用いるiOSやJavaを用いるAndroidのネイティブアプリの開発に比べ、アプリ開発が容易な点だ。いずれもHTML5とJavaScript、CSSを用いる。
最近ではiOSやAndroidのアプリでも、Webアプリをネイティブアプリとしてパッケージ化した「ハイブリッドアプリ」が増えている。こうしたハイブリッドアプリであれば、Firefox OSやTizenにも容易に移植できる。
iOSやAndroid向けのWebアプリ開発では、JavaScriptのフレームワークである「jQuery Mobile」や「Sencha Touch」が人気を博している。Firefox OSやTizen向けの開発でも、これらのフレームワークを利用できる。
第3のスマホOSが注目を集めている背景には、キャリアの思惑もある。キャリア独自のサービス展開を視野に入れ、米アップルや米グーグルのOSとは異なり、規定に縛られないFirefox OSやTizenが適しているとみたようだ。
端末コストの面でも利点がある。Firefox OSはWebアプリに特化した簡素な構造のため、同じOSSであるAndroidと比べても、余分なミドルウエアなどが必要ない。ソフト開発費を抑えることができ、端末価格を1万円以下にできるとみられる。この点が、iOSやAndroidより低価格なスマホを求める南米など新興国のキャリアから支持された。企業用途でも端末への投資を抑えられる点は大きな魅力だろう。