Q:アベノミクスでも「IT業界は賃上げがないのでは」と心配しています

 そろそろ結婚を考えているのですが、彼氏も私と同じく、IT業界でSE(システムエンジニア)をしているので、長時間労働と低賃金がいつも悩みの種です。

 出産など、将来のことを考えると、どうしても結婚に踏み切れません。せめて、給料が上がってくれればと、切に願っています。

 2013年に入って、アベノミクスとやらで円安・株高になっているようですが、私たち一般市民にはあまり関係がないような気もします。ただ、コンビニエンスストア各社や自動車業界などの給料アップの話は、非常に気になります。

 ズバリ、IT業界、特にSE職の給料は今後、上がるのでしょうか。

(年齢:30代後半、女性、システムエンジニア)

A:2014年には、IT業界でも賃上げがあるかもしれません

 初めにお断りしておきますが、給料が上がるかどうかは、個別企業の業績と個人の能力によって事情が異なりますので、私からはIT業界全般の話をします。

 結論から言いますと、政府は産業界に盛んに賃上げ要求をしていますが、私の予測では、IT業界では好調企業のボーナスアップはあっても、本給は定期昇給の維持程度で、本格的な賃上げ(ベースアップ)は来年(2014年)でしょう。

 また、ハードも売っている企業よりは、サービス専業のIT企業の方が、賃上げの可能性は高いといえます。いずれにしましても、賃上げの順番を先陣、中堅、殿(しんがり)の順に並べるなら、IT業界は中堅といった辺りです(図1)。決して最後尾ではありませんが、早い方の業界でもないと思います。

図1●アベノミクスの賃上げ陣形
図1●アベノミクスの賃上げ陣形
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 アベノミクスで、政府が産業界に明確に賃上げ要請をした結果、ローソンなどコンビニ各社をはじめ、内需産業の好調組がまず動きました。これらの企業はもともと業績が良かったので、賃上げの余地があったのです。

 次に、円安期待で、自動車産業などの輸出企業が続きました。日立製作所が一時金を昨年度よりもアップさせるのは、IT企業の側面というよりは、建機などインフラ系があるので輸出比率が4割以上もあるからです。