前回(第3回)はITベンダー、特に大手ITベンダーの企業組織としての問題について指摘しました。次に、組織に所属する“システム屋”の個々人に焦点を当ててみたいと思います。

 なぜダメな情報システムが無くならないのか。その理由を考える時に、「ダメな“システム屋”」の存在は無視できません。優秀ではないダメな“システム屋”が量産され、ダメでも仕事を任され、組織の中で出世したりしてしまう仕組みにも問題があるでしょう。

個人の立場なら品質が気になるはず

 個人の立場で大金を支払って買い物をする場合に、ダメなメンバーの存在は許容されるでしょうか。

 例えば、自宅を新築する時に、その建築プロジェクトのメンバーに優秀ではない人がいると分かったら、施主・発注者はどのように感じるでしょうか。押入れの戸の建てつけが悪いとか、階段の上と下で電気スイッチの仕様が異なるとか、色々と不安になることでしょう。場合によっては土台や構造に問題はないかと危惧することだってあるかもしれません。

 大切なお客と一緒に高級料理店に行く時に、もし調理場に優秀でない人がいて何らかの調理を担当していると分かったならどうでしょうか。お客の気分を損ねるのではないかと疑心暗鬼になって、料理を楽しむ気持ちは半減してしまうでしょう。

 もちろん修行中の料理人が先輩の指導を受けながら調理に取り組んでいるのであれば問題ありません。しかし、半人前のまま調理の重要な部分を任されているとしたら、とても安心などできません。