首都圏で大雪が降った2013年1月14日の予報を外し、逆にほとんど積雪がなかった2月6日には大雪の予報---。気象庁の相次ぐ“予報ミス”に東京都の猪瀬直樹知事がTwitterで苦言を呈すなど、批判が集まっている。

 一方、ウェザーニューズが提供しているスマートフォン(スマホ)アプリ「ウェザーニュースタッチ」では、1月14日に「首都圏で10年に1度の大雪」、2月6日に「雨寄り」の予報メッセージを配信。民間の気象情報サービス会社である同社がなぜ気象庁の予報を“上回る”ことができたのか。

スマホアプリ「ウェザーニュース・タッチ」は2012年7月にリニューアルし、双方向性を強化。ユーザーが自分のいる場所の天気を写真やコメントで報告する「ウェザーリポート」が無料会員でもできるようになったのに加え、トップ画面(写真右)には現在地を基準に見たい空の方角にスマホを向けるとその方角の現地から報告された空がひと目で見られる機能も
スマホアプリ「ウェザーニュース・タッチ」は2012年7月にリニューアルし、双方向性を強化。ユーザーが自分のいる場所の天気を写真やコメントで報告する「ウェザーリポート」が無料会員でもできるようになったのに加え、トップ画面(写真右)には現在地を基準に見たい空の方角にスマホを向けるとその方角の現地から報告された空がひと目で見られる機能も
スマホアプリ「ウェザーニュース・タッチ」は2012年7月にリニューアルし、双方向性を強化。ユーザーが自分のいる場所の天気を写真やコメントで報告する「ウェザーリポート」が無料会員でもできるようになったのに加え、トップ画面(写真右)には現在地を基準に見たい空の方角にスマホを向けるとその方角の現地から報告された空がひと目で見られる機能も
[画像のクリックで拡大表示]

ユーザー投稿が天気予報を決める!?

 そもそも首都圏の積雪予報は難しいという。「1~3月の首都圏は寒気と暖気の両方が流れ込みやすく、地上の気温・湿度や上空の気温・湿度など少しでも状況が変わると雨が雪になったり雪が雨になったりする」(ウェザーニューズ取締役の森田清輝氏)。しかも、首都圏ではわずかな積雪でも交通機関などへの影響が大きい。2月6日にJR東日本が大雪を懸念して運行本数を制限し、混乱が広がったことは記憶に新しいだろう。

 そのような状況に加え、従来の気象予報の手法自体の限界も指摘されている。「従来の気象予報は観測装置から得られたデータを集めて解析する。しかし、解析している要素は気温、湿度、気圧、風速、風向の5要素しかない」(森田氏)。

 一方、ウェザーニューズの予報の要素として大きいのは、「サポーター」と呼ばれるユーザーからの投稿だ。同社のスマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」には、「10分天気予報」「ウェザーリポート」などユーザーが自分のいる場所の気象情報を報告するコンテンツが5つある。例えば、「ウェザーリポート」ではユーザーは位置情報とともに空の写真や天気情報、体感、簡単なコメントなどを送信する。同社はユーザーから送られてきた情報と通常の気象解析を組み合わせて予報を決定し、リアルタイムでユーザーに配信している。

 毎日新聞の報道によると、猪瀬知事は会見で2月6日に気象庁が大雪の予報を外したことに対して「個人的だが(前日の)深夜に空を見ても雪が降る気配が全くなかった。気温も下がらなかった」と批判したという。ウェザーニューズではそういった“個人的な感想”をリアルタイムで集め、予報に役立てているのだ。