KDDIグループのMSO(ケーブルテレビ局の統括運営会社)であるジャパンケーブルネット(JCN)は、2012年11月28日に、JCNスマートテレビを開始した。既に各地の系列ケーブルテレビ局で受付がスタートし、最近ではJCNくまもとでも3月8日にサービスが開始したところだ。エンドユーザー宅へのSmart TV Boxの設置も始まっている。今回はその概要と設置時の注意点や導入してどのような環境で楽しむのが良いのかについてレポートしたい。

 このボックスはAndroid4.0をベースとし、日本ケーブルラボがまとめた次世代STBの技術仕様書に基づきパナソニックが製造する次世代STBである。外付けのUSB接続型HDDを追加すれば、MPEG-2で送られてくる地上やBSデジタル放送も、AVC/H.264にリアルトランスコードされて録画できる。筆者はエレコム製のHDD(容量500Gバイト)を設置後に追加してテストを実施中である。

 もともと日本におけるケーブルテレビ網は同軸ケーブルの中に放送波とネット用の通信波を多重して伝送するHFCタイプが多い。筆者宅は東京都西部でも有名なアナログテレビのビル陰難視聴区域にあり、10年前から原因者負担でケーブルテレビに接続された戸建である。現在この難視ケーブルシステムはJCN中野に併合されている。このような補償施設においても、STBを直接ケーブルテレビ回線につなぎこむことで、十分に信号強度が確保され、新しいボックスは利用可能だった。

 ただし、通信(インターネット回線)の上りには50MHz付近の帯域が用いられるが、筆者宅にもともと備え付けられていた保安器内には70MHz以下をカットするフィルターがつけられていた。今回の本機設置テストのためにこのフィルターを取り除いたことはいうまでもない。なお集合住宅でケーブルインターネットが困難な要因は、建物に配線されているケーブルの質が悪いことや流合雑音でネット回線の上り回線が劣化してしまう場合が少なくないという。*特に築年数の古い集合住宅における*Smart TV Boxの利用について、ケーブルの引替えや各世帯のケーブル接続端子の全面的交換などが想定されるため、その導入には踏み切れないのではというのが実情であろう。

 本機の魅力はデジタルテレビ(放送サービスおよびSmart TVサービス)と無線LANによるインターネットの両方を小さな筐体の1台で楽しめることに尽きる。ボックスの寸法も手ごろで、実際、筆者もリビングに設置してみて改てそのコンパクトさが気に入っている。

 なお、本来的には一度設置したBoxを、エンドユーザーが移動することは遠慮したいものである。特に高い周波数のデジタルテレビチャンネルやインターネットの回線クオリティが落ちてしまうことが少なくないからだ。設置ごとに電界強度などのスペック測定も不可欠なので工事資格者が実施することが求められるのである。

写真1●
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 さて、実際に操作するとまず電源をつけるごとにメニュー画面が立ち上がる(写真1)。この画面は、普通のテレビ画面が立ち上がるように好みでユーザーが設定変更できる。

 メニュー画面では、左横方向には「Play/エンタメ」がある。ここではYouTubeやニコ動、ビデオパス (今春スタート予定)などの動画を付属のリモコンで手軽に楽しめる。ちなみに2月23日からは、HDMI端子に挿入し、家庭にある一般のデジタルテレビでビデオパスなどが楽しめるスティック型STBの「Smart TV Stick」も発売が開始されている。Smart TV Boxからテレビ放送の受信機能を省略し、SmartTVに機能を特化した形である。このStickは配信ソフト側が対応すれば720Pの画質までサポートしているという。本機でのビデオパスのサービスが開始されれば720P画質で鑑賞が可能となると筆者は想定している。