写真●Windows XPのサポート切れを告知するページ
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 Windows XPのサポート期限切れが2014年4月と約1年後に近づいている(写真)。それに伴って、企業内で使われているWindows XP機の更新が話題になることが多い。

 身の回りを見ても、十二分のハードウエアスペックを持った最新のノートパソコンなのに、10年前のOSであるWindows XPで使われているのを見ると、ちょっと不思議な感覚になる。だが、ブラウザによる表示が数ミリずれただけでも大騒ぎになるインフラを、きちんと維持していかなければならないことを考えると、おいそれと最新OSに乗り換えるわけにはいかないのももっともだ。

 XPからの乗り換える場合の移行先として、もっとも支持されているのがWindows 7だ。Windows 8は、リリースされてからまだ日も浅く、十分な検証ができていないからといった理由もあるだろう。新しいUIの採用や、スタートボタンがなくなるといった、目に見える大きな変化もある。これらの変化を、既存のユーザーにきちんと伝え、今までの仕事を今までより効率を落とすことなくこなしてもらうためには、ある程度の教育期間も必要だろうし、何かがあったときのヘルプ体制も整えなければならない。

 それでも、今後は、BYOD(Bring Your Own Device:私物デバイス活用)環境などを含め、Windows 8の環境が一般的なものになっていくのは間違いない。一般ユーザーは思っている以上に進んでいることを、企業のシステム担当者は自覚しなければなるまい。会社で使うPCと自分が自分のために使うPCの違いが、ユーザーにとって大きな負担になっていくことも確かだ。ほんの少しの違いかもしれないが、それがストレスにつながる。

Windows 7でWindows XPの二の舞になる可能性が

 企業のWindows XPからの移行が進んだとして、今のままでいくといずれはWindows 7が第二のWindows XPになってしまうんじゃないか、という危惧を感じる。

 Windows 8は着実に進化を続けていくだろうけれど、Windows 7はクラシックなWindowsの最終形として進化をやめている。進化をやめるOSと進化を続けるOSの、どちらを取るかは企業にとって難しい決断だ。

 管理するという立場からは進化が止まり枯れてしまった環境の方が扱いやすいのは自明だ。でも、今後、BYOD端末など、Windows管理システムの中にないデバイスがどんどん企業内で使われるようになれば、箱庭的な純粋培養環境では太刀打ちできないようにも思う。だからこそ、Windows XPからWindows 7への移行は、再考を含めよく考える必要がありそうだ。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
フリーランスライター
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei