インターネットの上位レイヤーのサービスを独占して提供する企業を「Over The Top」、略してOTTと呼ぶ。米グーグルや米アップル、米アマゾン・ドットコム、米フェイスブック、さらにはスカイプやWhatsApp、カカオトーク、Viber、そしてLINEなど数千万以上のユーザーを抱えるメッセージング/コミュニケーションサービスの提供事業者などをOTTと表現することが多い。

写真1●OTTは「Stage 3」のサービス/サービスプラットフォームにおいて独占的なサービスを提供する
写真1●OTTは「Stage 3」のサービス/サービスプラットフォームにおいて独占的なサービスを提供する
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写真2●スウェーデン エリクソン Driver of Market Category Communication ServicesのFredrik Engstromer氏
写真2●スウェーデン エリクソンのFredrik Engstromer氏
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 このOTTの位置付けを表しているのがMWC2013の基調講演に登壇したNTTドコモ代表取締役社長の加藤薫氏が示したスライドだ(写真1、講演については後述)。このスライドの「Stage 3」に位置するサービス/サービスプラットフォームにおいて独占的なサービスの提供するのがOTTとなる。また、通信機器大手のスウェーデン エリクソン Driver of Market Category Communication ServicesのFredrik Engstromer氏(写真2)によると、OTTは、コミュニケーションサービスのほか、こうしたサービスの利点を生かせる音楽コンテンツなどの提供者を含める場合もあるという。

 いずれにせよ、携帯電話事業者側からすると、これまで計画的に構築してきた通信インフラの状況がOTTによって一変。OTTは携帯電話事業者が原則コントロールできない大量のトラフィックや制御信号を発生させる要因になるだけでなく、特に欧州や韓国では特定のメッセージングサービスに対して、携帯電話事業者がSMS(ショートメッセージサービス)から得ていた収益を奪ったとして、敵対的な見方もされている(関連記事:OTT対抗を標榜する韓国SK Telecom)。