通信の仕組みは言葉だけの説明ではわかりづらいが、絵で示せば格段に理解が進む。その点で、「通信の仕組みを図解する」ことに重点を置いた本書は、通信やネットワークを勉強するのに役立つ一冊である。

 本書の特徴はフルカラーのイラスト。冒頭のiPadや携帯ゲーム機などハードウエアの解説は、内部構造が美しく描かれ目を引く。無線通信の解説も、わかりやすく解説しようとする工夫が感じられる。

 だたし、1つのトピックについて2ページで解説する構成になっているため、個々の説明はあっさりしている。また、説明の詳しさにもムラがある。TCP/IPやLAN、WANなどの解説は概念図や接続構成がメインで、やや物足りない。説明も駆け足なので、専門用語がまったくわからない初心者には難しく感じるはずだ。

 通信の仕組みを体系的にじっくり学びたい人には本書は不向きだが、重要な用語を拾い読みしたり、広く浅く知るには参考になる。通信の仕組みを多少学んだことがある人であれば、知識を整理したり補足したりするのによいだろう。

徹底図解 通信のしくみ 改訂版
高作 義明 著
新星出版社発行
1470円(税込)