検索エンジン、モバイルゲーム開発エンジンと、ネットサービスの黎明期に先端領域を駆け抜けてきた。その過程で得た経験をこれから新規事業の創出につなげる。(文中敬称略)


 「これまでの様々な仕事はすべて今の自分の基礎となり、自信へとつながっています」と能登信晴は言う。NTTの研究所やディー・エヌ・エー(DeNA)を経て、今はベンチャー企業ネオローグの経営企画室長。自ら企画した新サービスの立ち上げに向け奮闘している。

能登 信晴
ネオローグ 経営企画室 室長 ソフトウェアエンジニア(写真:菊池くらげ)
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 NTTに入社したのは1996年。前年11月に、インターネットと手軽に接続する機能を備えたパソコン用OS「Windows 95」が国内で発売され、インターネットの利用価値が一般に知られ始めたばかりの頃だ。まだインターネット事業を展開する企業も少なかっただけに、インターネットに興味を持っていた能登は、学部卒ながら大手通信会社の研究所に入所し、その関連の研究に携わることができた。

 研究所では、ユビキタスコンピューティング(様々な種類のコンピュータをあらゆる場所で使えるようにすること)の調査研究と、検索エンジンのクローラー(Web上の文書や画像などを定期的に取得し自動的にデータベース化するプログラム)の開発を担当した。「当時の検索エンジンといえば、月単位でしか情報収集していないような時代でした」。

 開発を担当したのは、毎日情報を更新する仕様の、当時最先端のクローラーだった。「開発の際には、実現したいことを明確にし、そのためにどんな手段があるのか幅広く考えてアプローチしました」。母校の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスは理系と文系が入り混じったような場所だったが、NTT研究所は理系出身者や修士修了者がほとんどなので、当時の能登は自分の技術力に自信が持てなかった。