顧客にも販売員にも満足感を与えるシステム。化粧品の店頭販売を手掛けるファンケルが2012年に刷新した顧客対応システムの「要件」である。
 旧システムは顧客の購買履歴を味気ないリストで表示していた(図1左)。新システムではこのリストを、タブレットの画面1枚でビジュアルに表示できる(図1右)。客との会話を妨げないよう、販売員が会話の合間に一目で把握できるようにした。

図1●ユーザーエクスペリエンス(UX)を追求した、ファンケルの顧客対応システム
図1●ユーザーエクスペリエンス(UX)を追求した、ファンケルの顧客対応システム
顧客との会話を妨げることなく、画面を見てすぐに顧客の購買履歴が分かるようにした
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 横軸を時間とする画面構成、アイコンの絵柄、アイコンから伸びるバー。直営店の販売員やトレーナー約30人が開発に関わり、何度も試作を重ねて、これらの要素一つひとつを決めていった。

 顧客と販売員それぞれに優れた「体験(エクスペリエンス)」を与える。これが新システムの狙いだ。顧客に対しては「自分の肌質にぴったり合う商品が見つかった」という体験、販売員に対しては「顧客に喜んでもらえた」という体験を作り出すわけだ。