NTTドコモは無線LAN専用で利用するタブレット端末とスティック型STBを2013年3月に発売すると発表した。

 タブレット端末の「dtab」はNTTドコモの映像配信サービス「dビデオ(1月末までVIDEOストア)」を半年間契約することを条件に9975円と1万円を切るキャンペーン価格を付けた。タブレット端末市場は、2012年後半に米GoogleのNexus7や米Amazon.comのKindle Fire HDが2万円以下の価格で登場して以来、競争が加速している。NTTドコモ社長の加藤薫氏も「両社のタブレットを意識して、戦略的な価格を設定した」と話す。

 キャンペーンを適用しないdtabの本体価格は、2万5725円である。これを大幅に割り引く理由は、dビデオをはじめとするドコモのコンテンツサービスであるdマーケットや、しゃべってコンシェルなどのクラウドサービスの利用料金で原価を回収するモデルを採用しているからだ。iPhoneを取り扱わないことで他社への契約者流出が続いているドコモは「ライバルはAmazonだ」と公言し、通信サービス以外のコンテンツやクラウドサービスでの収益拡大を目指している。

 テレビ画面でコンテンツを楽しむdstickも、5月までに7万台を無料で配布し、dビデオを初めとするサービス利用を促進するツールとして提供する。

無線LAN端末用に新たな認証基盤を構築

 今回の2機種の発売にあたってNTTドコモは、OTTサービス事業者としての基盤拡充を一歩進める。具体的には、自社の電話番号を持たない端末を対象とした新しいユーザー認証基盤を3月までに構築する。

 これまでNTTドコモは、映像、音楽などのコンテンツ配信や、クラウド上のシステムで提供するナビゲーション、音声案内、端末操作サポートといったサービスを提供する際には、docomo IDという電話番号とひもづいたIDを入力することでユーザー認証するだけでなく、端末に挿入されたSIMカードに格納された電話番号情報も取得して、確かに自社回線のユーザーであることを2重に確認していた。マルチデバイス対応についても、dビデオは2012年8月に一つのdocomo IDを複数の端末に流用して視聴できるマルチデバイス利用を開始していたが、登録できる端末としてはNTTドコモのSIMカードが挿入されていることを条件としていた。