大手IT企業の採用担当者に、ソフトウエアエンジニアに求められるスキルセットや具体的な採用プロセス、選考のポイントなどを聞くシリーズインタビュー。ディー・エヌ・エー 技術企画グループ グループリーダー 稲村 直穂子氏は、「新規事業のチャンスと最前線の現場を楽しめる人材に来てほしい」と語る。

(聞き手は田島 篤=出版局)


まずは社内でどのようなソフトウエアエンジニアが働いているかを教えてください。

 DeNAでソフトウエアエンジニアを区分するのに2つの軸があります。1つはキャリアパス、もう1つはスキルセットです。

 キャリアパスには、「サービスリード」「ビジネスリード」「エキスパート」「マネジメント」の4種類があります。サービスリードは、サービスを成功させるために何をすべきかを考え、技術力を駆使し率先して実現していけるエンジニアです。ビジネスリードは、文字通り事業リーダーです。担当事業領域を分析して戦略を立案し、新しいサービスや事業を創出して成長させられる人材です。エキスパートは、高い技術力や専門性を持ち、それらを活かして事業に貢献できるエンジニアです。最後のマネジメントは、エンジニア組織のリーダーやプロジェクトマネージャといった区分になります。

 スキルセットの軸は、エンジニアに求められる専門性・技術スキルに応じたものです。一口にエンジニアといっても、開発系、インフラ系、分析系、それともテストエンジニアリング系なのかで必要なスキルセットが異なります。

 大まかにいうと、DeNAのエンジニアの約7割が開発系です。そのため今回は開発系の人材採用についてお話します。その人材像を紹介するために、DeNAが会社として何を目指しているのかから説明しましょう。それが人材像に密接に結び付きますので。

 DeNAは今「グローバルNo.1モバイルソーシャルプラットフォーム」の実現を目指しています。歴史を振り返ると、1999年に創業して最初はEC(電子商取引)のオークションから始まりショッピング事業、モバイルに特化したオークションや広告事業を展開してきました。その後、Mobage(モバゲー)を作り、続いてソーシャルゲーム開発、プラットフォーム(配信基盤)事業を展開してきています。直近だと、Mobage事業のグローバル展開に加えて、無料通話のcomm(コム)、音楽サービスのGroovy(グルーヴィー)といった新規事業に乗り出しています。このように一つの領域に特化せずに、新しい成長エンジンを自分たちで探し、チャンスを見つけては次々と創出していく会社なのです。

 こうした会社の開発系エンジニアに求められるものは何か。決められた仕様のアプリやシステムを作って終わりということでは全くないわけです。新規サービスを自ら考え、自ら作ることが求められます。そのサービス運営やインフラ運用も手掛けていくので、状況に応じてシステム開発・運用におけるさまざまな意思決定を下していくことになります。これが可能な、「自分で考えて作って判断できる」エンジニアを求めています。以上が人材像の大前提にして、一番の特徴と言えます。