40G・100Gイーサネットが普及するとネットワークはどう変わるの?

(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)

  今回の回答者:
日本アルカテル・ルーセント
APAC CS&SS IPコンピテンスセンター
シニア マネージャー
鹿志村 康生

 最大伝送速度が40G・100Gビット/秒のイーサネット規格(40GbE・100GbE)であるIEEE 802.3baが2010年に承認されてから1年半が経過しました。40GbE・100GbEともに、対応するサーバー機やネットワーク機器が登場し始めています。では40GbEや100GbEが普及すると、ネットワークにどのような変化が起こるのでしょうか。

 この二つの規格は、最初に通信事業者のネットワークの基幹部分であるコアネットワークやデータセンターで採用されます。普通であれば40GbEが先に普及しそうですが、日本ではいきなり100GbEが導入される可能性が高いです。現在、事業者の通信サービスではトラフィックの急増が問題となっており、帯域を増やす必要に迫られています。10Gビット/秒イーサネット(10GbE)の回線を束ねる方法もありますが、負荷分散の複雑さや管理の手間が増えることを避けたい通信事業者もいます。そこで今後のインフラ増強を見越し、いきなり最高速の100GbEを採用するのです。

 一方、企業ネットワークに40GbEや100GbEが入るまでには、まだ多少時間がかかると考えられます。ここ数年で10GbEの価格が下がったのと同様に、40GbE・100GbEも価格の低廉化が必要になります。

 サーバー機のハードウエアやアプリケーションにも変化が見られるでしょう。40GbEのインタフェースを搭載可能なサーバー機が既にありますが、この量のトラフィックを流すには高速なCPUが必要です。膨大な数のTCPセッションを扱うアプリケーションも出てきそうです。これにもCPUの処理能力が関係します。またセッション数を減らすために、アプリケーションでウインドウサイズを調整する設計も必要になるかもしれません。そうなると、バッファーを大きく持たせる必要があります。これはサーバー機の搭載メモリーなどに関係してきます。