大手IT企業が相次いで、ビッグデータの活用支援サービスを拡充している()。潜在ニーズが多いマーケティング領域を掘り起こし、システム構築の受注やソリューションの提供などにつなげる狙いだ。

表●ビッグデータ分析を活用した、IT大手の主なマーケティング支援サービス
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 日立製作所と博報堂は2013年4月から、顧客企業のデータを預かって分析し、販売促進策などを提案するサービスを始める。マーケティング戦略の立案を得意とする博報堂と、システム構築やデータ解析の技術を有する日立が、お互いの強みを持ち寄る。

 新サービスを提供する組織として「マーケット・インテリジェンス・ラボ(仮称)」を日立社内に設立し、両社からそれぞれ5人程度の社員を派遣する。

 日立は2012年から「データ・アナリティクス・マイスターサービス」として、数理分析などの知識を持つ専門家が顧客企業に対し、ビッグデータ活用法を提案するサービスを始めている。「博報堂と組むことで、日立が不得手としていた領域に事業を拡大できる」(日立広報)と期待する。

 博報堂マーケティングプラットフォームビジネス開発部の山之口援部長は、提携の狙いをこう語る。「日立と組むことで、当社の顧客に対してシステム構築まで一括して提案できる。提案スピードを加速することで、新規案件の受注増につなげたい」。両社は初年度に、10件のコンサルティング案件を受注したい考えだ。

 日立以外のIT大手も、販促分野を狙ったビッグデータ関連サービスを相次いで投入している。

 日本情報通信(NI+C)は2013年2月15日、日本IBMのテキスト分析ソフトを月額23万円から利用できるクラウドサービス「NI+C テキストマイニング・パック」を開始した。Twitterのつぶやきやコールセンターの対応ログなど、最大800万件のテキストデータを一括で分析できる。

 富士通は1月、ソーシャルメディア上の情報を収集、分析するクラウド型ツールの提供を始めた。NECは店舗のカメラ映像から、来店者の傾向を分析できるサービスを提供している。料金はいずれも月額10万円以下。今後も安価なマーケティング支援サービスが登場しそうだ。