2014年4月に消費税が5%から8%に、2015年10月に8%から10%にアップする。情報システム部門にとって、消費税の増税に自社の基幹系システムが対応できるか早期の確認が急務になっている。

 特に修整の必要が生じる可能性が高いのは、製品の売買に関連する販売管理、購買管理、会計の3システム()。業種別では、POS(販売時点情報管理)システムを抱える小売業への影響が大きそうだ。「子会社を含むグループ全体で、基幹系システムを中心に税率の改定に対応できるかどうかを確認すべき」と、税理士法人トーマツの岡田力パートナーは指摘する。

図●2014年4月の消費税増税に向け、システムに関して確認すべきポイント
白字が影響を受けやすいシステム
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 今回の税率改定で確認すべきポイントは二つある。一つめは複数の消費税率を管理できるかだ。政府は税率改定時に、一部商品の消費税率を標準税率より低く設定する「軽減税率」の導入を目指している。軽減税率の対象になる商品を扱う企業は複数税率を管理することが必須となるが、現時点で対象品目の詳細は決まっていない。

 二つめのポイントは、1年半の短期間で2回の税率改定を実施できるかどうか。「自社開発の販売管理システムで消費税率をプログラムで直接指定している」場合、軽減税率への対応も踏まえて、システムを再構築するか修整で済ますかを決断する必要がある。いずれも1997年の消費税改定時にはなかった要件で、「前回の税率改定を乗り切ったからといって安心はできない」(監査法人トーマツの伊藤哲也パートナー)。

 1997年の消費税率改定時もあった経過措置への注意も必要だ。2014年4月の消費税率アップの際は、「資産の譲渡が2014年4月1日以降でも、2013年9月30日以前に契約した」場合、消費税率5%が適用される。製造に長期間かかる製品やシステム構築、建物などが対象になる。リースについても同様の措置がある。経過措置の対象になる製品・サービスを扱う企業は、契約日を正確に管理し、契約日によって取り引きを区別して異なる消費税を付与する機能をシステムに実装するといった対応が求められる。

 主要なERP(統合基幹業務システム)ベンダーは、今回の消費税率改定への対応は「特に問題はない」としている。SAPジャパンは、「税に関するデータは個別に管理しており、必要に応じてそのデータを参照することで、税率改定や複数税率に対応できる」と説明する。ERP「GLOVIA」シリーズを提供する富士通マーケティングは、「製品は税率の変更に対応できる仕様になっており、簡単な設定のみで変更は可能」としている。