「位置情報付きのデータが急激に増えているが位置に関する精度はバラバラ。これからは位置情報の精度が上がり、空間情報の融合が進んでいく」

 GIS開発を手がけるNTT空間情報の中川守・営業本部長はこう指摘する。融合を実現するために有望な技術として同氏が指摘するのが、AR(拡張現実)、3次元表示、準天頂衛星、IMES(屋内測位)の4つだ。

 ARは人間から見た現実世界を拡張する技術のこと。GISに関しては実際の風景に地図情報を重ねて表示する仕組みだ。既にスマホや一部のカーナビなどで使われ、店舗案内やナビゲーション情報を表示するなど用途が広がっている。

 3次元表示は、立体表示された都市空間での設備管理、津波やがけ崩れのシミュレーションなど、平面表示では分かりづらかったことを表現できるようにする。

「日本版GPS」準備着々

 日本が独自に打ち上げる測位衛星「準天頂衛星」は、GPSによる測定精度を向上させる。準天頂衛星は日本の真上の軌道を通り、1メートル未満の精度で位置情報を割り出すことが可能だ。都市部や山間部などでも情報の精度が高まる。

 準天頂衛星を使った全地球測位システム、いわば「日本版GPS」の推進は、内閣府の宇宙政策委員会が発表した、宇宙政策の柱となる次期宇宙基本計画(2013~2017年度)案で採用した。測位向けの準天頂衛星は2010年代後半を目標に4基を整備。将来は7基へと拡大する。

 IMESは、GPS衛星の電波が届きにくい建物内の位置情報を捕捉する技術。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が考案した。スマホを使って大型商業施設内の売り場案内ができるようになるといったことに利用できそうだ。

●位置情報関連の4大キーワード
AR(拡張現実)
スマホなどで表示した実際の映像上に地図情報を重ねる
3次元表示
地図データは平面から3次元へ。データの測量も進む
準天頂衛星
より精緻なGPSでの位置測定が可能に
IMES(屋内測位)
GPS衛星の電波が届きにくい建物内の位置情報を捕捉