世界最大のモバイル見本市・国際会議のモバイル・ワールド・コングレス(MWC)が、今年もスペイン・バルセロナで始まった。今年は史上空前となる7万人の来場者が見込まれるなど、年を追うごとに規模が大きくなっている。ただ、ここ数年見られたスマートフォンやタブレットなどの技術革新が一段落、今年は特にこれといった目玉製品や画期的な技術は見当たらなかった。
HTML5やローエンドのスマホに期待が集まる
そうした中、比較的大きな注目を浴びていたのが米モジラ財団とテレフォニカが共同開発した「Firefox OS」。これは次世代ウェブ標準のHTML5をベースにした基本ソフトで、その上で動くアプリは全てウェブ・アプリである。Firefox OSは、アップルの「iOS」やグーグルの「アンドロイド」に対抗する、第3のモバイルOSとして期待を集めている。
Firefox OSはいわゆるオープン・ソース、つまり無料で提供される上に誰でも自由に改造できるソフトウエアなので、これを搭載した端末はかなり安く製品化できる。このためモジラやテレフォニカでは、アフリカや南米などの開発途上国向けを中心に100ドル前後のスマートフォンを想定している。既にKDDIをはじめ世界の主要17キャリアが、Firefox OSを搭載したスマートフォンの商品化を検討している。
今年のMWCでは、Firefox OSを搭載した中国ZTE製のスマートフォンが展示された。ただし会場で実際に手にとって軽く使ってみると、タッチパネルの操作感が若干ぎこちなく、ゲーム等のアプリも途中で落ちたりすることがある。発売までには、もう少し製品の完成度を高める必要があるだろう。
他にスマートフォン関連の展示では、ノキアが出品した「ルミア520」などローエンド端末が注目される。iPhoneやアンドロイドにスマホ市場の大半を奪われた現状では、それ以外の端末やOSが市場を奪い返すためには、結局は価格で勝負せざるを得ない面がある。