前回大反響となった「アップル(スティーブ・ジョブズ)のすごさ」をテーマにした飯野賢治氏との対談。今回の後編では「iPadの本質」と「コミュニケーション」についてお送りする。
iPhone、iPadのユーザーインターフェースは暫定!?

富永朋信氏(以下、富永):ところで、ここにiPadがあるんですけど、これどう思います?
飯野賢治氏(以下、飯野):このUI(ユーザーインターフェイス)は違うよね、たぶん。
富永:違うって?
飯野:これ、暫定だと思う。アップルが何か発明するはず。
富永:そうですか。どの辺が?
飯野:だってアイコンの色と形でしか識別できないし、結局デスクトップ発想から離れてないんですよね。机の上を縦にして重力をなくしたのがデスクトップなんです。それってMacintoshがデビューしたときと同じじゃないですか。
富永:じゃあ、基本Macということか。
飯野:だから違うと思う。横にすると画面がグイッグイッと変わるのも違うと思うし。もっと画期的なUIがあるはずですよね、これに必要な。
富永:じゃあ、飯野さんのなかでiPadはPCじゃないんだ。PCという言い方はよくないかもしれないけど。
飯野:PCじゃないべきですね。
富永:それはサイズの問題?
飯野:うん。これは“帯に短し、たすきに長し”のサイズだから。
富永:なるほど。じゃあ、まだコンセプチャライズが足りないということ?
飯野:足りないと思いますね。アップルはiPhoneやiPadを早く出したかったんでしょうね。
富永:どっちに行ったらいいですかね、iPad。
飯野:立ち位置が微妙ですよね。持って歩くには大きいし、仕事ができるかというと、ちょっと小さいみたいなところがあって。ただこのiPadのサイズだからできることってあるはずなので、そこをアップルが行くのか、これとは違うサイズが出てくるのか、ちょっと分からない。これじゃないサイズが出た途端、iPadの思想は崩れると思いますが。
富永:そうですよね。
飯野:もっと小さかったら急にみんな持ち歩いちゃうので、アプリを作っている側からすると、持ち歩く端末と考えるか、置いて使う端末と考えるかでけっこう困惑しますよね。それもアップルは分かっていて、だから次のiPadもたぶんこのサイズオンリーだと思います。
富永:iPadのUIを考えるときに、例えば画面をポンと押すとちゃんと気持ちよく画面が動きますけど、指には何も返ってこないですよね。それはどう思います?
飯野:それをいうとね、これですよ(愛用の「GALAXY S II」を取り出す)。このボタンを押してもらっていいですか。そうすると、振動が返ってくるんですよね、「ブルッ」て。これがすごくよくて。
富永:あ、本当だ。こういうのいいですよね。
飯野:ちょっと持つと分かるんですけど、従来のものとは違う独特な振動で。GALAXY S IIの振動ファンっているんですよ。ファンが集まるウェブページすらあるんです。