縦書きで書かれたサイバー攻撃手法の解説本。驚くべきことに「パケット」や「IPアドレス」といった用語がほとんど出てこない。専門的な説明が必要な部分は身近なたとえ話に置き換えて巧みに説明している。

 攻撃手法の解説本は、ともすれば専門用語の羅列となり、TCP/IP、電子メール、Webサイト記述言語、データベース、Windowsなどの前提知識がないと読めないことが多い。しかし、本書は前提知識なしでも2~3時間もあれば読み終わる。でありながら、ソーシャルエンジニアリングやフィッシング、中間者攻撃、ボット、DDoS攻撃など広範な攻撃手法を網羅している。

 システムアドミニストレーターがセキュリティ知識を得る入門書としては最高の1冊だ。エンジニアが「上司や経営幹部にセキュリティを説明する」という場面にも役立つだろう。なにしろ専門用語なしで分散反射型DDoS攻撃を説明しきっているのだから。

ハッカーの手口

ハッカーの手口
岡嶋 裕史 著
PHP研究所発行
798円(税込)